エレガンスとヴィルトゥオジティの両立

——ショパンの音楽は今もなお世界中で愛されています。人々の心を惹きつけ続けるショパンの魅力の本質というのは、どこにあるのでしょうか。

アリソン そうですね、「ショパンの音楽に好きになれないところなんてあるでしょうか?」と言いたいですね!(笑)もちろん魅力というものも主観的なものですが。

私にとっては、ショパンが古典主義を振り返りつつ、ロマン主義の本質を先取りしている点も魅力に含まれます。彼の音楽にある純粋なエレガンスも大きな魅力です。さらにポーランドの舞曲形式を取り入れていることによって、政治的な意味ももちます。長い間ロシアの体制が中央・東ヨーロッパの作曲家や作家、芸術家の国際的な評価を左右してきたことを私たちがますます理解していくなかで、ショパンが誇り高くその外に立っていたことが見えてくるのです。

——真に「ショパンらしい演奏」とはどのようなものでしょうか。

アリソン もちろんショパンを演奏する「唯一の正解」はありません。ただ、私が敬意を抱くのは、昔風の「パトリシアン(上流階級的)」とも言えるアプローチです。控えめな表現が大きな効果を生むこともあるのです! ですから、先ほども述べたように、エレガンスとヴィルトゥオジティの両立は、真に「ショパンらしく」あるために欠かせないと思います。

国際学会で発表した際のアリソンさん