コンチェルトがいちばん好きな理由

――初めて本格的にコンチェルトに取り組んだのは17歳、ピティナ・ピアノコンペティションのときでした。その後、オーケストラとの共演も増えていますね。

K コンチェルトのお話をいただけるようになりましたが、まだレパートリーは少ないです。来年は、毎月のように新しい曲を譜読みして仕上げていく時期かなと思っています。譜読みは苦手ではないので、たくさん勉強していきたいですね。それが一生の財産になると考えています。

――コンチェルトを演奏する面白さを教えてください。

 僕はコンチェルトを演奏するのがいちばん好きです。

ソロで弾くときは、自分の出した音に自分の心を動かすという循環を作っていかなければ良い音楽にはならないと考えています。楽譜の音を追っているような段階では、まだダメなのです。自分の作り出す音を聴き、その音楽に自分の心を動かし、そこへお客さまを連れてループに入っていく状態が良いゾーンに入っている時だと思うのです。

でも、オーケストラと一緒に弾いていると、自分の心を動かしてくれる要因が自分だけではありません。アンサンブルの積み重ねのなかで、オーケストラのさまざまな楽器と掛け合い、オーケストラがエネルギーをあおってくれ、また僕が引っ張っていくことでもどんどん熱量が高まります。それが自分の演奏にも反映され、そのサイクルがより良く稼働していくのです。