1961年にモスクワ音楽院を卒業した直後、ビッグバンドのオレグ・ルンドストレーム楽団に入団。1972年までの12年間、ピアニスト・作曲家・アレンジャーとして活躍しました。ここで最初に作曲したのが《ピアノ協奏曲第1番 作品2》だったのですが、3つの楽章からなる作品のため、短めの音楽に慣れていたビッグバンドにとっては少々“お堅い”音楽と見られたそうです。
しかし、ビッグバンドでの音楽経験を積む中でジャズにおけるオーケストレーションを学んだカプースチンは、ますますその作曲スタイルを洗練させていき、数々の名曲を残していきました。
オレグ・ルンドストレーム楽団を辞めた後もさまざまなオーケストラと活動を行ない、1980年に自作の《ピアノ協奏曲第2番》を演奏。これを最後に、カプースチンは公の場所での演奏を辞め、作曲活動に専念することを決意しました。
カプースチン:ピアノ協奏曲第2番 作品14 第1楽章
その後は、《8つの演奏会用エチュード》や《変奏曲》などのピアノ曲を始め、《ヴァイオリン・ソナタ》や《フルート、チェロとピアノのための三重奏曲》等の室内楽作品、さらには協奏曲作品まで。ジャズとクラシックの要素が高次元で混ざり合った数々の名曲を生み出し続けましたが、多くの音楽ファンに惜しまれながらも、2020年7月2日にこの世を去りました。
カプースチン:《8つの演奏会用エチュード》作品40より 前奏曲
カプースチン:《フルート、チェロとピアノのための三重奏曲》作品86 第1楽章