――レパートリーについてですが、どのような作曲家がお得意ですか。
M 何でも好きで、そこが自分の強みです。
いま最も関心を寄せている作曲家は、スクリャービンとベートーヴェンです。
スクリャービンは、身を任せればいいという感覚が特に好きです。もちろん、いろいろ考えて作品に取り組んではいますが。
ベートーヴェンは真逆で、どこまでも正解を突き詰めていける深みのようなものがあります。それ以前に、作曲家としても好きなのです。
――先日、響ホールでチェンバロを演奏されました。普段、古楽器も弾いているのですか。
M パリ音楽院にはクラヴサンがありますので、弾いていました。レッスンを受けていたわけではないので、響ホールで僕が弾いてもよいのかなと思ったのですが、鑑賞教室で聴いていた中学生にピアノとチェンバロの響きの違いを聴いてほしかったので、弾いてみました。
――ちなみに、フォルテピアノについては?
M フォルテピアノは副科でとりました。実は、楽器の下に足が入らないのです(苦笑)。楽器が低すぎて……足を無理やりピアノの下に入れて弾いています。
――その作曲家の時代の楽器の演奏についても、マルセルさんは勉強しているのですね。
M そうですね。ハイドンの時代の楽器でも演奏することができ、かなり勉強になりました。