――エコール・ノルマルでの勉強は、今年6月に終えられたそうですね。
M はい。フランスに自宅があり、いまは日本とダブル拠点でやっています。
――どんな演奏家を目指したいですか。
M これからも成長し続け、音楽をいつまでも探し続け、聴きに来てくださるみなさんと一緒に芸術に向き合い、一緒に楽しめるコンサートを目指していきます。
――AIの時代になり、芸術の分野まで侵食されるような状況になっていますが、芸術家として生きていくことについて、どのような考えをお持ちですか。
M 音楽、演奏の難しいところは、良いものの定義が人それぞれによって異なる、とても曖昧なものだということです。
「圧倒的な演奏」「うまい、下手」などは、かなり抽象的なもので、その場の状況次第でいくらでも変わり得るものだと思っています。演奏を聴く時など、先入観が占める要素がかなり多いです。今の世の中は、マジョリティをとったものが良いとされています。しかし、芸術はそういうものなのか、いろいろと考えています。
ここ数年で、デジタル化がかなり進みました。でも、生演奏の価値を下げてしまったこと、マイクやカメラを通してどう聞こえるか、どう見せるかが大事になってしまったことなど、良い面ばかりではないように思っています。
AIを使うことによって、音楽界がより良い方向に発展すればいいなと思っています。
――ところで、マルセルさんはピアノ以外でハマっていることってありますか?
M う~ん、いまはどうだろう?(笑)中学生のころには将棋が大好きで、詰め将棋をずっとやっていました。家に将棋盤があり、ちょっとやってみようかなと思ったのがきっかけでした。でも、夢中になりすぎて、夜に眠れなくなる日が続いてしまい、いったん引退しました(苦笑)。