中国のミュージカル事情と安心して鑑賞できる空間づくり

千住 僕、数年前に東野圭吾さん原作の『白夜行』を中国でミュージカルにしたんです。

田代 え? それは中国のカンパニーでつくったということですか!?

千住 そうです。この小説は中国でもすごく人気があって、世界中の中国系のミュージカル俳優が集まってきて、数年がかりでワークショップを行いながら完成させました。言葉は全部中国語で、初演は上海で10日間行ないました。

中国は今、すごくミュージカル熱が高まっていて、各地に2000人規模のホールを建てて、全中国ツアーで毎回10〜15日公演をしてすべてが満員になります。

田代 すごいですね……!

千住 中国の人たちの、ミュージカルを自分たちの文化にしていこうという意識を感じます。熱意というかバイタリティがあるんですね。

田代 中国のお客さんはどんな感じですか?

千住 ミュージカルに限らず、コンサートでもそうですが、声援がすごくて、お客さんはとても情熱的です。日本のお客さんがおとなしいのとは対照的ですね。もしかすると日本の場合、初めて舞台を経験するのが学校の鑑賞教室という人が多くて、「静かに聴きなさい」と「指導」されてきたことも関係があるかもしれませんが。

田代 たしかに、鑑賞教室だと指導する先生によって生徒たちの反応がかなり違うんですよね。だから逆に、キスシーンなんかがあるとそんな指導も忘れてハッと息を呑む音がステージまで聞こえてきたりして。予定調和ではない、いかに固唾を飲んで新鮮に観てくださっているのか実感して、こちらも改めて初心を思い出すこともあります。

千住 演者の側からしても、集中して観てくれているお客さんがたくさんいればパフォーマンスの質も上がると思うんですよね。だから、本当に観たい人が安心して鑑賞できるような空間づくり、というのもとても大切だと思います。

昔から日本では歌舞伎の幕間に幕の内弁当を食べることもあるけれど、この前香港にできた新しい劇場では飲茶が食べられるんだそうです。

田代 幕間休憩を数時間も設けてピクニックをしながらじっくりとオペラ鑑賞ができるイギリスのグラインドボーン音楽祭みたいですね! ところで、ミュージカル『白夜行』は日本公演の予定はないんですか?

千住 ぜひ日本でやりたいですね。

——そのときはぜひ田代さんも!