ミュージカルでしかできない歌の表現

千住 ESCOLTA結成当初、ポップスとクラシックを融合させた歌手として山崎育三郎くんがいて、万里生くんは完全なオペラ的な表現でそれを支えるという役割だったと思うんですが、ミュージカルの世界に進出してから日本語の発声がすごくわかりやすくなり、ドラマを作ることができる歌い手だと感じています。

田代 ありがとうございます。僕もデビューの頃は、声が聞こえてなんぼ、高音が出てなんぼみたいなカチカチの考え方だったんですが、ささやく声でも2000人にちゃんと届く、横を向いても後ろを向いていてもお客さんには聞こえるんだって、ちゃんと自分に信じ込ませるのに10年以上かかりました。声量や高音だけに固執するのではなく、僕が歌うのはすべて“音楽”であり、そのすべてが想いを込めた“台詞”なのだと。

千住 それがわかっているのはまさにミュージカルを経験した人の強みだよね。僕は『オペラ座の怪人』の最初のロンドン公演を観たときに、一部が終わるところのファントムのすすり泣きに度肝を抜かれたんです。ピアニッシモを超えた小さな音で、もちろんマイクを使ってはいるんですが、こういう歌い方ができるんだって。

田代 生の声で歌うオペラ歌手では難しいですよね。マイクならではの表現や技術があると思います。

千住 まさにミュージカルでしかできない表現だし、あとは作曲面でもクラシックでは禁止されているような方法もどんどん使っていて、オペラの世界では許されないことが、創成期のウエストエンドではできた。しかし今はもう、ブロードウェイでもウエストエンドでも、ある意味ミュージカルのスタイルはでき上がってしまっていて、次に今期待されているのがアジアだと思うんです。

特に中国は、オールドスタイルのミュージカルを継承しようとしている。我々日本人には、これまでに経験したミュージカルをつくりあげる蓄積があるわけで、今後はアジアが一体となっていいところを出し合っていくべきだと思いますね。

田代 ぜひまた千住さんと一緒に舞台をつくってみたいです。

千住 まずはコンサートやりましょう!

出演情報
『レッドブック~私は私を語るひと~』

【東京公演】
日程:
 2026年5月16日(土)〜5月31日(日)
会場: 東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【大阪公演】
日程: 2026年6月27日(土)〜6月30日(火)
会場: 森ノ宮ピロティホール

【愛知公演】
日程: 2026年7月4日(土)〜7月5日(日)
会場: 御園座

出演: 咲妃みゆ、小関裕太、花乃まりあ、エハラマサヒロ、中桐聖弥、加藤大悟/田代万里生、ほか

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ミュージカル『アニオー姫』

日程: 2026年9月12日(土)〜9月27日(日)

会場: KAAT神奈川芸術劇場

出演: 田代万里生、小野田龍之介、音くり寿、ドー・ファン・ザ・ハン、今井清隆、吉沢梨絵、井料瑠美、栗原英雄、戸井勝海

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田代万里生
田代万里生 ミュージカル俳優

東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。3歳からピアノを学び、7歳でヴァイオリン、13歳でトランペットを始め、15歳からテノール歌手の父より本格的に声楽を学ぶ。1...

進行・まとめ
室田尚子
進行・まとめ
室田尚子 音楽ライター

東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京医科歯科大学非常勤講師。オペラを中心に雑誌やWEB、書籍などで文筆活動を展開するほか、社会人講座やカルチャーセンターの講...