ひとしきり取材が盛り上がった後、「2階のアトリエをご覧になられますか」と誘ってくださったので喜んでついていった。そこで見せてくださったのは、水彩で描かれたメーテルの原画であった。本物のメーテルは、テレビや映画で見るよりもはるかに美しく、ファンの一人としては心の震えが止まらなくなるくらいに神秘的だった。
特に驚いたのは背景に描かれていた宇宙空間の色である。「本物の宇宙はこんなに綺麗ではないですがね」と松本さんは言っておられたが、こんなにも夢のような、青と紫の宇宙空間が筆で描かれていたということに少なからず衝撃を受けた。あの星空の向こうには、まぎれもなくロマンティックな、オーケストラの響きがあった。
松本零士さんの原画が、そのような色彩であったことは、ぜひともファンの方々にもお伝えしたいと思う。