――クロンベルクの町と、そこにアカデミーのために建てられたホール「カザルス・フォーラム」という、場の力も大きな要素なのでは?
MINAMI 実は高校を卒業したぐらいのときに、クロンベルク・フェスティバルの中にあるマスタークラスに参加したのですが、その当時はまだカザルス・フォーラムどころか校舎もありませんでした。古い美術館や、使われていない市の建物などでレッスンを受けたり、演奏会も町の教会でやったりしていました。
当時からクロンベルク・アカデミーはクロンベルクの町にとって大切なもので、そのフェスティバル中は町のおじいさん、おばあさんたちがみんなして演奏会に駆けつけてくれるという感じだったんです。
私が改めてクロンベルク・アカデミーを受験する頃には、もう新しい校舎とカザルス・フォーラムが建っていました。すごく綺麗な校舎で、学ぶのに最適な場所だと思います。
新校舎が建ったことで、フランクフルトから電車で一本で来られることもあり、ドイツ各地からお客さんが来るようになったし、ゲストの先生方にも来ていただきやすくなりました。町を挙げてのアカデミーで、周りの人たちが応援してくれる温かい雰囲気の中で、勉強させてもらっているという感じです。
――中世からの歴史をもつ町なんですよね。
MINAMI はい、すごく古くて可愛らしい町で、駅前に建っているカザルス・フォーラムと校舎だけが新しいというような……あとはもう本当に昔のまま。


――そんな古き良きヨーロッパの雰囲気が残っていることが、日頃はあまり教えることをしない巨匠たちを引きつける、一つの要素なのかもしれないですね。そこに新しく建っているカザルス・フォーラムの特徴は?
MINAMI 大ホールは、小さめの編成のオーケストラも演奏可能です。リサイタルにも使えるし。小ホールは、室内楽かソロかという感じですね。
室内楽の場合、小さいレッスン室やスタジオで弾いているだけではわからないことも結構あるんです。いくら耳元でうまく聞こえても、大きい空間で離れて聴いてみたら違うこともありますから。
カザルス・フォーラムだと大小2種類のホールで弾いて、どういう風に違いが出るかというのを普段から勉強できる。私たちはいろいろなホールに行って弾くわけですから、そこでどう対応するかを普段から勉強できているのは、とてもありがたいです。
