――その「クィーン」をテーマに、ギリシャ神話とパンクを融合させるというのは、どういう発想なのでしょうか。
向井 はい。歌詞にはアテネやアポロンなど、ギリシャ神話の登場人物がたくさん出てきます。作品全体がギリシャ悲劇『バッコスの信女』を下敷きにしているんです。
オーケストラの中では、ユーフォニアムが創造の神アポロ、エレキギターが破壊の神デュオニュソス(バッコス)、女性アンサンブルのソリストたちがその信女たち、そして私が大好きなサントリーホールのオルガンがゼウス、というように、神々を対立させて構成しました。
――オルガンがゼウス! 確かにそういう感じがします。音色で配役がイメージできますね。信女たちは具体的に何を?
向井 何かを演じるというよりは、主張をしていきます。時に巫女にもなります。作品は全部で11の場面に分かれていて、場面ごとに信女たちがさまざまなことを繰り広げます。
大きく前後半に分けると、前半はデュオニュソス側、つまり社会への反抗的なパンクな態度が中心です。それが後半になると、徐々にみんなで連帯していくという流れになっています。歌詞は日本語と英語を混ぜています。