現代音楽はいまでもきっとエリートの音楽なのだろうと思う。けれど、知的に武装されすぎた世界であることが、聴衆を遠ざけているとしたら、こんなにもったいないことはない。ポップスやアートの世界と同じくらいに新しくてかっこいい、同時代的なことが起こっているのだと広く知ってもらうためには、向井航さんは今後欠かせないキーパーソンになっていくのではないだろうか。
毎年現代音楽への新しい扉を開いてくれる「サントリーホール サマーフェスティバル」は、自分のよく知らない音楽であろうとも、必ず刺激をくれる最高の機会であり、できるだけ個人的にも毎年足を運ぶようにしている。向井さんの新作《クィーン》を含むプログラム全体にも、ぜひご注目いただければと思う。
林田直樹
日時:8月30日(土)15:00開演
会場:サントリーホール 大ホール
曲目・出演
芥川也寸志(1925~89): 《交響管弦楽のための音楽》(1950)
第33回芥川也寸志サントリー作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品
向井 航(1993~ ):《クィーン》ユーフォニアム、エレキギター、女声アンサンブルと大オーケストラのための(オルガン付き)(2025)世界初演
ユーフォニアム: 佐藤采香 エレキギター: 藤元高輝
女声アンサンブル:松島理紗、岡﨑陽香、浅野千尋、個々・マユミ・歌楽寿、庄司絵美
第35回芥川也寸志サントリー作曲賞候補作品(50音順/曲順未定)
斎藤拓真(1992~ ):《アンティゴネーとクレオン》ソプラノ、アンサンブル、エレクトロニクスのための(2024)
ソプラノ:薬師寺典子 エレクトロニクス:今井慎太郎
廣庭賢里(2000~ ): 《The silent girl(s)》ピアノと室内オーケストラのための(2024)
ピアノ:天野由唯 アシスタント:鈴木彩葉
松本淳一(1973~ ): 《空間刺繍ソサエティ》(2024)
指揮:杉山洋一
新日本フィルハーモニー交響楽団
候補作品演奏の後、公開選考会(司会:長木誠司)
選考委員(50音順):伊左治 直、小出稚子、安良岡章夫
料金
指定席:前売一般 3,000円/U25席 1,500円
指定席:当日窓口一般 3,500円/U25席 2,000円
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