——次は音楽面のお話を。福士さんにとって、韓国発ミュージカルの魅力とは?
福士 以前、『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』に出演したときも感じたのですが、韓国発ミュージカルって力強い。役者さんもすごくパワフルで「個」の力があり、声楽を学んでいる人が多いのか、歌うときにビブラートをすごくかける。そこは僕には真似できませんが、彼らの歌には想いを越えてくるエネルギーのようなものを感じます。
——『ワイルド・グレイ』は美しくドラマティックな楽曲の数々を、ピアノ、チェロとヴァイオリンが生演奏で奏でます。以前、出演された2人舞台『スリル・ミー』のピアノも素敵でしたが、弦楽器が加わることで期待していることは?
福士 ピアノには縦のリズムをすごく感じ、チェロやヴァイオリンには曲線や直線を感じます。そこに僕たちの歌が入ることで多様性のある空間になる気がします。弦楽器は音が浮遊するので空間が埋まるように感じます。僕自身、弦楽器は好きなので演奏を聴くのが楽しみです。
——ちなみに、個人的にお好きな楽器はありますか?
福士 最近だと、チェロの重厚感のある響きはかっこいいなと。そういえば以前、ドラマ『のだめカンタービレ』(2006)に出演したとき、僕はオーボエ奏者の役でしたが、(オーケストラのシーンなどを体験して)楽器それぞれに響きの良さを感じました。とくに印象的だったのはピアノです。「ピアノって全部できるんじゃん!」って(笑)。
——役者として生演奏で演じることの魅力は?
福士 音楽的な波動を直に感じられることですね。演奏者の呼吸やテンポを直接感じられることで、天井知らずな一体感を得られる。それが生まれると最初はあるテンポで練習していても速くなることがあって、それがベストになることもあります。韓国発ミュージカルでも初演と最後でテンポが変わることはあるんじゃないかな。そんな感覚が味わえるのも生演奏ならではの素晴らしさです。