——厳しい指導者だった母を亡くして、ピアノを弾けなくなってしまった公生についてどう思いますか?
岡宮 公生も幼い頃は「お母さん、弾けたよ!」と素直に楽しんでいたと思うのですが、厳しい訓練やプレッシャーを受けて、追いつめられてしまったのかなって。僕自身も、歌については最初は楽しんでいたのですが、責任やプレッシャーで苦しくなったり、楽しめなくなったりする時期がありました。だから、公生の気持ちにはすごく共感できます。
——岡宮さんは、「歌」へのプレッシャーをどのように乗り越えたのですか?
岡宮 自分の場合は、とにかく「できるまで練習するしかない」と思ってやってきました。舞台に立つときは「ここまで自分は準備してきたんだ」という自信を支えに、それを信じるようにしています。ストイックに練習を重ねていますが、最近はその過程自体が楽しいと思えるようになってきています。
前回の公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』はフレンチロックミュージカルで、ドーブ・アチアさんの楽曲を歌いこなすのはとても難しかったです。でも、楽譜を研究しながら役作りすることがすごく楽しかったですし、「人を感動させる曲は単にメロディラインが美しいだけではないんだ」という気づきもあり、音楽の奥深さを強く感じました。
——新たなキャストと迎える稽古場の雰囲気を教えていただけますか?
岡宮 今回は本当にフレッシュで若いメンバーが多いんです。演出の上田一豪さんとは『ファンタスティックス』以来ですが、本当に優しくて面白い方で、当時の稽古場もとても楽しい雰囲気だったんです。今回もそうなると思いますし、僕も座長としてみんなが楽しい現場作りができるように尽力したいです。