それから第1回NYO-USA開催まで7年を要したが、2013年以来、カーネギーホールは毎夏全米からオーディションで選ばれた16歳から19歳のユースおよそ100人に、ニューヨーク郊外の大学キャンパスにおける集中トレーニング、カーネギーホールでの演奏会、そして全米あるいは世界各地での演奏会ツアーの機会を、参加費無料で提供している(コロナ禍の2020年も、バーチャルによるトレーニングや演奏会で乗り越えた)。
「私たちがやりたかったことの一つは、第1回当時、アメリカにとって国際関係が重要だった国々へ演奏旅行をすることでした。13年前、ロシアとの関係は、今と比べればまだ良かったかもしれませんが、それでもひじょうに難しかった。そこでヴァレリー・ゲルギエフに電話して協力を要請しました。彼は休暇の日程を変えて引き受けてくれました。このプロジェクトがいかに重要であるかを、多くの人が感じていたのです。
私たちはまずワシントンD.C.のケネディ・センターで演奏して、そのあとモスクワ、サンクトペテルブルク、ロンドンと巡って、BBCプロムスで演奏しました。アメリカを代表するヴァイオリニストの一人、ジョシュア・ベルとも共演しました。ほんとうに興奮する体験でした。
そしてそれが、カーネギーホールにはこのプロジェクトを実現できる力があったという証でもあります——ただ実現するだけでなく、最初から『最高のレベル』で始められたということなんです」