「ナショナル・ユースオーケストラUSA (NYO-USA)のオーディションは、受験者すべてにプロの審査員がコメントを渡します。そうしたフィードバックを生かして、翌年また挑戦してくる姿には感動します。中には3度目の挑戦でやっと合格した参加者もいます。こういったプロセスを通して、人は『決意』『思いやり』『献身』という価値を学ぶことができます。そして、志すべき姿勢というものも見えてきます。
オーケストラに参加すると、人生について多くのことを考えるようになるんです。分かち合うことの大切さとか、選ばれるというのはとても特別なことなんだとか。NYO-USAのメンバーになることは、とても恵まれた特権です。だからこそ、その体験を地元に持ち帰り、他の人々と共有してほしいと私たちは伝えています」
「教育プログラムは、今日や明日に成果が表れるわけではないし、それが5年後、10年後に表れるかどうかもわかりません。でも、もしかしたら参加者が将来カーネギーホールを支える存在になるかもしれないし、どこか別の場所で音楽の強力な支援者になるかもしれない。
それに、私たちが行なっている音楽教育の多くはニューヨーク以外で実施されています。今では全米に広がっていて、ほとんどの人はニューヨークにも、カーネギーホールにも来ないかもしれない。でもそれが音楽の未来にとって良いことであれば、最終的にはカーネギーホールにとっても良いことなのです。私たちもまた、音楽の未来の一部であるべきですし、音楽が人々の人生を良くする力になれると信じています」