さて、そのご縁で先日、Billboard Live TOKYOのライブを聴いてまいりました。共演はピアニストの倉田信雄さん。今井さんが信頼を寄せるピアニストで、
親密なライブ空間で聴いた今井美樹さんの歌声は、思っていた以上にやわらかく、きめこまかく、空間を真っ直ぐに通って耳に届いてまいりました。なんだ、やっぱり今井さん、空間を声で完全にコントロールしているじゃないですか……無意識なのでしょう。
今井美樹さんの楽曲を多く手がけたシンガーソングライターの上田知華さんが昨年他界されたことから、この日は、上田さんの楽曲中心に歌われていきます。《瞳がほほえむから》《PIECE OF MY WISH》など、やはり名曲。そして改めて聴くほどに、メロディも詞も本当に良い。少し切ない言葉に明るいメロディとハーモニーが重ねられていることもあって、味わい深い。
そしてライブで今の今井美樹さんの歌声で聴くと、ふだん親しんでいる音源のお若い頃の声とはまた違うしなやかな感触というか、やわらかくほほえんでいるような声色があって、それがまたとても良いのです。
というわけで、信じられないくらい感動して、この日はライブ会場を後にしたのでした。音楽は不意に心を動かします。
今井美樹さん、デビュー35周年の2020年には、オーケストラとの共演によるセルフカバーアルバムをリリースされています。クラシック・ファンのみなさんには、やはりこちらのアレンジの耳馴染みが良いでしょう。ぜひ、聴いてみてほしいです。