強弱は指ではなくペダルでつける

その後はいよいよ本格的なレッスンに移行。反田のリクエストでブラームスの「11のコラール前奏曲 Op.122」の第8曲「一輪のばらが咲いて」が課題曲となった。これは反田がリサイタルでたびたび演奏してきた曲でもある。最初はオルガンのもっとも基本的な音色となる「プリンシパル」で演奏。近藤に感想を求められると、反田は「少し物足りない」という。

ブラームス「11のコラール前奏曲 Op.122」より第8曲「一輪のばらが咲いて」

そこで「もっと繊細で味わいのあるものを」ということでストップを操作し、音色づくりを行なう。ここで、音に強弱をつけるための「シャッターペダル」の説明も行なわれた。パイプ群がおさめられた箱(スウェル・ボックス)のシャッターをペダル操作で開閉することで、音量の変化が得られるものだ。

シャッターペダルで音に強弱をつける。踏み方と離し方にも繊細なコントロールが必要とされる

ミスタッチが顕著に聞こえてしまう難しさ

レッスンは近藤の模範演奏も交えながら進行していく。反田の演奏を聴き、近藤は「レガートの演奏が素晴らしい」という。確かに、指で巧みに旋律をつなげて美しい歌を紡ぎ出しているのが聴きとれた。

それでも反田は「ピアノはペダルがあるのでレガートで演奏しやすいけれど、オルガンは指の技術でレガートを表現しなければならず、とても難しい」と感想を漏らした。また、少しでも違う鍵盤に触ってしまうと音が出るので、ピアノよりもミスタッチが顕著に聞こえてしまう点も難しさを感じる点だという。