通好み?新ジャンルを開拓していくピアノYouTuber

最後に、個性派揃いのYouTuberの中でもケレン味あるキャラクターや良い意味でクセの強いコンテンツが魅力の精鋭たちに触れたい。

鍛え上げたマッチョな体で繊細な美しい音を奏でる僕、フォルテ。彼はその経歴も興味深く、大学時代に「第19回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」で金賞を受賞しているが、紆余曲折を経て現在はコメディアンピアニストとして活動している。

動画の内容は、ストリートピアノからドッキリ企画、赤ちゃんを抱いての演奏とバリエーション豊かだが、中でも「フォルテの本気演奏」という純粋にクラシック楽曲を演奏する姿は、ルックスとのギャップもあいまって、思わず笑ってしまう。この嫌味のないキャラクターは僕、フォルテ。ならではの魅力だと感じる。

僕、フォルテ。によるリスト《ラ・カンパネッラ》の本気演奏

キャラクターといえば、細やかな演出で独自の世界観を展開しているのが、最近TV等でもよく目にする五条院凌だろう。

2021年にTikTokで話題になり、フジテレビの『芸能界特技王決定戦TEPPEN2022冬』に出演したことなどから、瞬く間に知名度を上げている。「おゴージャスな〜」といった語り口調がお馴染みで、中世の貴族のようなコスチューム姿もインパクト大だ。

彼女の動画は、カット割りや小道具、照明やカラコレ(映像の色彩補正)に至るまで徹底的に「五条院凌」の世界観にこだわった演出が見どころ。これだけキャラクターが際立っていると肝心の演奏がどうなのか気になるところだが、アレンジもテクニックもそれらに負けないくらいゴージャスなのが人気のポイントだと思う。

五条院凌《薔薇は美しく散る》。徹底的な世界観の演出が見どころ