サントリーホール40周年を記念し、“新曲”が登場

気になるパイプオルゴールのレパートリーですが、現在はレオポルト・モーツァルト「メヌエット(ワイン好きのための)」、クレマン・ジャヌカン《恋の手習い》やフランスのクリスマスキャロルなど、季節に合わせて8曲が演奏されています。

しかも、プロのオルガニストが演奏したものをデータとして記録・再生するというひと手間がかけられており、ここにもサントリーホールの隠れたこだわりが。これまで鈴木雅明、松居直美、故・鈴木隆太など、トップクラスの奏者の演奏が記録されており、今後もずっとこのパイプオルガンの中で生き続けていく……ロマンを感じませんか?

ところで今年、開館40周年を迎えるサントリーホール。この記念すべき節目に、パイプオルゴールの新曲委嘱の企画が持ち上がりました。作曲者は、サントリーホールと縁が深く、高度な芸術性と広く人々に親しまれる普遍性を併せ持つ池辺晋一郎氏。CELEBRATION for Suntory Hallのタイトルで、6月1日から各公演の開場前に演奏されています。演奏を務めたのは、サントリーホール主催の数々のオルガン企画に長年携わってきたオルガニストの勝山雅世氏。40周年を祝う今シーズンを通して演奏され、その後もパイプオルゴールの恒久的なレパートリーとして未来へ引き継がれていきます。

池辺晋一郎 Shin-ichiro Ikebe
作曲家。東京藝術大学卒業、同大学大学院修了。主要作品に11の交響曲、3つのピアノ協奏曲、チェロ協奏曲、オペラ『死神』『鹿鳴館』をはじめ管弦楽曲、室内楽曲、合唱曲など多数。附帯音楽の分野でも映画『影武者』『うなぎ』、TV『独眼竜政宗』『八代将軍吉宗』など多数の映画・ドラマ音楽の他、演劇の音楽約500本を担当。1996年より13年間、NHKテレビ「N響アワー」の司会を、2015年~2020年までNHK-FM「N響 ザ・レジェンド」司会を担当した。現在、東京音楽大学名誉教授、東京オペラシティ・ミュージックディレクター、サントリー芸術財団評議員ほか多くの文化団体の企画運営委員、顧問、評議員、音楽コンクール選考委員などを務める。日本音楽コンクール、尾高賞などの受賞の他、映画、テレビ等の附帯音楽分野での受賞も多数。交響曲、オペラ、管弦楽曲、合唱曲から映画、テレビ、演劇の附帯音楽まで、極めて幅広い領域で活躍し、2004年に紫綬褒章受章、2018年に文化功労者に顕彰、2026年には日本芸術院賞を受賞するなど日本の音楽界を牽引。教育者としても多くの後進を育成する傍ら、メディア出演や執筆活動を通じて、今なお日本中に多くのクラシック音楽ファンを生み出している。
池辺晋一郎氏のコメント

サントリーホールが40周年を迎えたことは、本当に嬉しく、喜ばしいことです。今でもオープニングの時の光景は目に浮かび、耳にも残っています。当時サントリーの社長だった佐治敬三さんがオルガンのAの音を鳴らし、それがオープニングの合図となるという、しゃれた開館をしたわけです。そのあと芥川也寸志さんの曲が演奏されたこともよく覚えています。あれから40年が経ち、今や日本だけでなく世界で最も愛され、大切にすべき場所になったことを誇らしく思いますし、これから先の未来を考えると一層嬉しいです。

この晴れがましい場所に関われることは本当に名誉です。開場の時間に集まる、音楽とホールを大変に愛している方々に、サントリーホールがこれからもより大切にされていくことを、この作品を通して願っています。

毎回楽しみに来られるお客様がいる一方で、開演時間を目指して来場する音楽ファンにはその存在が知られていない、サントリーホールの隠れた名物ともいえるパイプオルゴール。ぜひこの機会に、コンサートが始まる前の時間も含めた「コンサート体験」を、パイプオルゴールの音色とともに味わってみてはいかがでしょうか?

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...