気になるパイプオルゴールのレパートリーですが、現在はレオポルト・モーツァルト「メヌエット(ワイン好きのための)」、クレマン・ジャヌカン《恋の手習い》やフランスのクリスマスキャロルなど、季節に合わせて8曲が演奏されています。
しかも、プロのオルガニストが演奏したものをデータとして記録・再生するというひと手間がかけられており、ここにもサントリーホールの隠れたこだわりが。これまで鈴木雅明、松居直美、故・鈴木隆太など、トップクラスの奏者の演奏が記録されており、今後もずっとこのパイプオルガンの中で生き続けていく……ロマンを感じませんか?
ところで今年、開館40周年を迎えるサントリーホール。この記念すべき節目に、パイプオルゴールの新曲委嘱の企画が持ち上がりました。作曲者は、サントリーホールと縁が深く、高度な芸術性と広く人々に親しまれる普遍性を併せ持つ池辺晋一郎氏。『CELEBRATION for Suntory Hall』のタイトルで、6月1日から各公演の開場前に演奏されています。演奏を務めたのは、サントリーホール主催の数々のオルガン企画に長年携わってきたオルガニストの勝山雅世氏。40周年を祝う今シーズンを通して演奏され、その後もパイプオルゴールの恒久的なレパートリーとして未来へ引き継がれていきます。

サントリーホールが40周年を迎えたことは、本当に嬉しく、喜ばしいことです。今でもオープニングの時の光景は目に浮かび、耳にも残っています。当時サントリーの社長だった佐治敬三さんがオルガンのAの音を鳴らし、それがオープニングの合図となるという、しゃれた開館をしたわけです。そのあと芥川也寸志さんの曲が演奏されたこともよく覚えています。あれから40年が経ち、今や日本だけでなく世界で最も愛され、大切にすべき場所になったことを誇らしく思いますし、これから先の未来を考えると一層嬉しいです。
この晴れがましい場所に関われることは本当に名誉です。開場の時間に集まる、音楽とホールを大変に愛している方々に、サントリーホールがこれからもより大切にされていくことを、この作品を通して願っています。
毎回楽しみに来られるお客様がいる一方で、開演時間を目指して来場する音楽ファンにはその存在が知られていない、サントリーホールの隠れた名物ともいえるパイプオルゴール。ぜひこの機会に、コンサートが始まる前の時間も含めた「コンサート体験」を、パイプオルゴールの音色とともに味わってみてはいかがでしょうか?