指揮者としてのラフマニノフは、自身のピアノの演奏と同じく、聴き手を圧倒するパワーに溢れていましたが、あまりテンポを揺らすことなく、シンプルな解釈を好みました。

アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル(ピアニスト)

オーケストラのリハーサルでは、細かい部分を仕上げていきました。すべての音をちゃんと聴いていることがよくわかりました。彼は楽譜を細部まで読み込んでいたに違いありません。

ミハイル・バグリノフスキー(指揮者)

私はこれまで、ニキシュやメンゲルベルク、ヴァインガルトナー、モットルらの指揮を聴いてきたが、ラフマニノフの指揮はあまりに見事で、正直彼らとは比較できない。(中略)魔法の指揮棒と、控えめながら表情に溢れる彼の手からは、音楽が滲み出ているのが見える。

ユーリ・ニコルスキー(指揮者)

アメリカへ亡命するまで、作曲家とピアニストとしてのみならず、指揮者としても本格的に活動し、すべてにおいて頂点を極めたラフマニノフ。150年の節目の年に、彼が演奏家として生きた証である数多くの録音を聴いてみてはいかがでしょうか。

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...