ラヴェルの音楽は、ただ美しいだけではなく、聴く人も弾く人もどこか異世界へ連れて行ってくれるような力があると感じます。伝統的な要素を持ちながらも、新しい響きを巧みに織り交ぜていて、どの作品にも彼ならではの”音”に対する独特のセンスが光っています。

これからもその魅力を存分に味わいながら、次の世代へも引き継いでいけたらと思います。

亀井聖矢

神田勇哉/フルート奏者(東京フィルハーモニー交響楽団首席)

わたしの1曲/《ダフニスとクロエ》第2組曲

私の高校時代、吹奏楽界ではラヴェル作曲バレエ音楽《ダフニスとクロエ》の第2組曲が流行っており、当時の私も吹奏楽版とはいえその色彩と迫力にハマっておりました。中高生が演奏するには時間と演奏技術の関係でカットされることが多い中間部には「パントマイム」という長大なフルートソロがあり、音大のフルート科合格を目指し日々練習する私にとって「これをいつか吹きたい!」と思うのは自然な事でした。

心に染みる数々の名曲を生み出してくださり、ありがとうございます。従来の伝統に抗って作品を発表し続けたのは困難の日々だったと思います。ただひとつ、わたしがわがままを言えるとしたら、もう少し長生きして、さらなる作品をもっともっと残していただきたかった……。

神田勇哉