素晴らしい音楽を遺してくださり、ありがとうございます。一世紀以上経った今でも、その唯一無二の響きに魅了されている僕のような若者がたくさんいます。

もし天国からその姿をご覧になっているのだとしたら、どうか微笑みながら見守っていてください。

角野隼斗

長哲也/ファゴット奏者(東京都交響楽団首席)

2022年開催の「都響スペシャル」で《ボレロ》を演奏する長哲也さん(客演トロンボーンは客演でニューヨーク・フィルぼ首席ジョゼフ・アレッシ氏)
©堀田力丸
わたしの1曲/《ボレロ》

ラヴェルは「道化師の朝の歌」「スペイン狂詩曲」「ピアノ協奏曲」といった管弦楽作品の中で、楽器の特性や音域を最大限に活かしたメロディをファゴットに遺してくれています。これらの旋律は、我々ファゴット奏者にとって、大切な宝物であり、同時にそれらを演奏することは演奏家としてもっとも喜ばしい瞬間です。その中でも、オーケストラのファゴット(バソン)奏者として、もっとも多く接する機会のあるラヴェルの作品は《ボレロ》ではないかと思い、今回挙げさせていただきました。

フルート、クラリネットがメロディAを演奏した後に、メロディBが初めてファゴット(バソン)によって演奏されます。このソロ部分は超高音域で、技術的にとても難しいのですが、演奏不可能か、と言われればそうではありません。ラヴェルによって計算され尽くしたこの絶妙な難易度が、お客さまと演奏者にとって、このソロをさらに魅力的にしている要因の一つであると思っています。

生誕150周年、おめでとうございます。

これからも心を込めて、ラヴェルさんの旋律、音楽を奏でてゆきます。

長哲也

三浦謙司/ピアニスト

©Harald Hoffmann
わたしの1曲/ピアノ協奏曲ト長調~「第2楽章」

孤独感と温かさを同時に感じられるから。

150年過ぎた今も彼の音楽が新鮮に感じることは、彼がどれほど時代の最先端を歩んでいたか物語っていると思います。

どうかこれからも多くの方々が彼の音楽に魅了されますように。

三浦謙司

https://ontomo-mag.com/featured/ravel-et-moi-2025/
ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...