クラシックの名曲を原曲とアレンジで2倍楽しむ

物語に登場してきたサウンドトラックは、本来はどのような音楽であり、ドラマのためにいかにアレンジされてきたのだろうか。

例えば、ドラマのオープニングテーマや、毎話のクライマックスで流れるメインテーマは、おそらくチャイコフスキーの交響曲第5番が原曲となっている。これまでアレンジ版で何度も耳にしてきたが、最終回のシンフォニーホールのこけら落とし公演で、ようやくオリジナルが聴けることになりそうだ。

メインテーマでは、序盤はピアノでバラード風に奏でられるが、徐々にオーケストラが加わることで、本来の足どり確かなの誇り高き作風であるオリジナルに近づいていく。

同じくチャイコフスキーの交響曲第5番の第2楽章を元に生まれたのが、『玉響カンタービレ』だ。この楽章はホルンの美しい旋律が聴きどころなのだが、アレンジ版でもそれがそのまま残されている。そこで新たにピアノの音色が加わることで親しみやすさが増し、キャラクターの切ない心情に寄り添う音楽へと変化している。

原曲に比べて様変わりしているのが、バッハの管弦楽組曲第2番より第7曲〈バディネリ〉を元にアレンジされたと思われる『常葉のバディネリ』。オリジナルでは、軽快で戯れるようなフルートの旋律が印象的だが、アレンジ版ではその2倍ほどゆったりしたテンポになっている。確かに奏でている旋律は同じであるはずなのに、がらりとテンポが変わるだけで、音楽は纏う雰囲気を変化させるのだと気づく。