粋なアレンジで思わずハッとしたのが、ドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》第2楽章がアレンジされた『それぞれの路』。日本では『遠き山に日は落ちて』でよく知られている旋律の作品だが、木管楽器の本来のメロディはそのままに、音楽へのアプローチを変えている。本来はおおらかな弦楽器の音色でその旋律を包み込んでいたのだが、アレンジ版では煌めくようなピアノの音色が重ねられている。旋律は同じでも、そこに加える音色やテイストを少し変えるだけで、本来とは少し違う表情が見えるものなのだと気づく。
ジャンルを超えてまったく別の音楽に変身しているのが、『Fiord Bossa Nova』。悲劇的でセンセーショナルな冒頭で有名なグリーグのピアノ協奏曲が、洒脱でおしゃれなボサノヴァ音楽になっていて驚く。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第1楽章が、シンセサウンドでメロウな味わいを醸し出す形で編曲された『夢見る舞台』もおもしろい。
現代の日本を舞台としたドラマで、クラシック音楽がこれほどいきいきと輝くとは。物語中には30超もの音楽が登場する。それぞれを原曲と聴き比べてみれば、さらにクラシック音楽が近くに感じられたり、オリジナルの作品が持っている魅力に気付いたりできるに違いない。色とりどりの音楽とともに、今夜の最終回で玉響の「リバーサル」を見届けよう。
日本テレビ系 毎週水曜よる10時~
出演: 門脇麦、田中圭、瀧内公美、坂東龍汰、濱田マリ、平田満、前野朋哉、行平あい佳、ロイック・ガルニエ、岡部たかし、永山絢斗、恒松祐里、津田健次郎、原日出子、生瀬勝久
音楽: 清塚信也、啼鵬
脚本: 清水友佳子
演出: 猪股隆一、小室直子、鈴木勇馬
チーフプロデューサー: 三上絵里子
プロデューサー: 鈴間広枝、松山雅則
制作協力: トータルメディアコミュニケーション
製作著作: 日本テレビ
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