——音楽との関係は切っても切れず、一生続くはずです。続く世代の音楽家の支援もなさっています。
藤井 私自身、音楽の世話になった身ですから、ご恩返しでクラシック音楽振興には興味があります。しかし、ただお金を出せばよいとは考えていません。指揮者の栁澤寿男さん率いるバルカン室内管弦楽団の日本ツアーも最初は資金提供だけでしたが、他のオーケストラにはない独特の民族色や必死な叫びのような表現力に深く共鳴し、支援を決めたのです。
しかし、資金提供だけでチケットが売れるわけではありません。私が演奏したコンサートに指揮者の栁澤さんがいらっしゃったあと、なんと「共演しませんか」という申し出をいただき、たいへん驚きました。「私は車検切れのようなものだから」と一度はお断りしたのですが、話題性があってチケットが売れるだろうと説得され引き受けたのです。確かにチケットは売れました。実際に資金提供だけではなく、私が出演することでの集客は効果的で、年々このような形での支援は増えています。
よく「チケットが売れないので資金援助してほしい」との申し出が来ますが、そもそも売れるような企画内容かを考えるべきです。