クラシック音楽のさまざまな名作の中でも、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、精神的な深みにおいて、真に人類最高の宝物ともいえる作品群である。
そこには悲劇も喜劇も、闘争も歓喜も、ユーモラスな対話や遊びもある。哲学的でもあり、敬虔な祈りもあり、あらゆる人間的要素が盛り込まれている。
それらは決して難しいものではなく、ライブな場で体験してこそ、ベートーヴェンの語ったように「心から心へ」とダイレクトに伝わってくる。
今回のシューマン・クァルテットによる全6回のベートーヴェン・サイクルは、各回のテーマ設定がとても好奇心をそそるもので、プログラム構成の意図も理解しやすい。
筆者のメール・インタビューにも最大限誠意を尽くして答えてくれたが、それは彼らの今回のコンサートに賭ける意気込みそのものでもあるのだろう。
林田直樹
会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
■6月11日(水)19:00開演
Ⅰ Alpha and Omega
第1番、第7番「ラズモフスキー第1番」、第16番
■6月12日(木)19:00開演
Ⅱ Holy Song
第2番、第8番「ラズモフスキー第2番」、第15番
■6月14日(土)19:00開演
Ⅲ Light
第3番、第10番「ハープ」、第9番「ラズモフスキー第3番」
■6月15日(日)14:00開演
Ⅳ Shadows
第4番、第11番「セリオーソ」、第14番
■6月17日(火)19:00開演
Ⅴ Freedom
第5番、大フーガ、第13番
■6月18日(水)19:00開演
Ⅵ From the Heart
第6番、ヘ長調 Hess 34(作曲者によるピアノ・ソナタ作品14-1の編曲)、第12番
問合せ:サントリーホール 0570-55-0017