取材を終えて

クラシック音楽のさまざまな名作の中でも、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、精神的な深みにおいて、真に人類最高の宝物ともいえる作品群である。

そこには悲劇も喜劇も、闘争も歓喜も、ユーモラスな対話や遊びもある。哲学的でもあり、敬虔な祈りもあり、あらゆる人間的要素が盛り込まれている。

それらは決して難しいものではなく、ライブな場で体験してこそ、ベートーヴェンの語ったように「心から心へ」とダイレクトに伝わってくる。

今回のシューマン・クァルテットによる全6回のベートーヴェン・サイクルは、各回のテーマ設定がとても好奇心をそそるもので、プログラム構成の意図も理解しやすい。

筆者のメール・インタビューにも最大限誠意を尽くして答えてくれたが、それは彼らの今回のコンサートに賭ける意気込みそのものでもあるのだろう。

林田直樹

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)2025
シューマン・クァルテット ベートーヴェン・サイクル
出演
弦楽四重奏:シューマン・クァルテット
ヴァイオリン:エリック・シューマン/ケン・シューマン
ヴィオラ:ファイト・ヘルテンシュタイン
チェロ:マーク・シューマン

会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)

 

6月11日(水)19:00開演
Ⅰ Alpha and Omega
第1番、第7番「ラズモフスキー第1番」、第16番

6月12日(木)19:00開演
Ⅱ Holy Song
第2番、第8番「ラズモフスキー第2番」、第15番

6月14日(土)19:00開演
Ⅲ Light
第3番、第10番「ハープ」、第9番「ラズモフスキー第3番」

6月15日(日)14:00開演
Ⅳ Shadows
第4番、第11番「セリオーソ」、第14番

6月17日(火)19:00開演
Ⅴ Freedom
第5番、大フーガ、第13番

6月18日(水)19:00開演
Ⅵ From the Heart
第6番、ヘ長調 Hess 34(作曲者によるピアノ・ソナタ作品14-1の編曲)、第12番

 

問合せ:サントリーホール 0570-55-0017 

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林田直樹
林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...