飯田 Spotifyなどのストリーミングだと、プレイリストがあるじゃないですか。あれは使います?

飯尾 実は使っていません。自分で選ばないと気が済まない性質なので。

飯田 あれがいいんですよ。たとえば私はジャズに詳しくないから、プレイリストを頼りにしている。最近すごく気に入っているプレイリストがジャズ・チル。

飯尾 ああ、そんなふうにプレイリストを使うんですか。

川上 クラシックやジャズだったら自分で選びたいけど、ポップスとかR&Bとかヒップホップだったら、プレイリストに任せちゃう。

飯尾 自分があまり詳しくないジャンルこそ、プレイリストが役立つのかも。いろんなストリーミング・サービスがありますが、みなさん複数のサービスを使い分けていますね。

飯田 いちばん使うのがSpotify。次にApple Music。Naxos Music Library、Amazon Music Unlimitedも使います。

飯尾 僕も今はSpotifyが基本です。でも、クラシックの新譜をチェックするときはApple Musicのほうが品ぞろえがいいので便利。総合力のSpotify、新譜コーナーが強いApple、検索能力と日本語対応がすぐれているNaxos。どれも欠かせません。

川上 Apple Musicの新譜コーナーで聴いて、気に入ったからハイレゾで買うことがよくあります。

Apple Musicの新譜コーナー「ニューアルバム」

飯尾 僕は家にCDがあっても、同じ音源をよくSpotifyで聴いちゃう。CDを棚から探し出すのが面倒なせいもあるけど、CDって1回買ったら支払いはそれっきりでしょう? でもSpotifyで聴くと、微々たるものだけどアーティスト側に支払いができる。コンマ何銭の世界でしょうけど、昔購入したCDを応援するみたいな気持ちであえてSpotifyで聴いたりするんですよ。Spotifyって、そのトラックが何回再生されたかとか、わかるじゃないですか。あそこの目盛りが低いほど、応援したくなる(笑)。

川上 わかります。自分も昔からフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクルが好きで、ストリーミングで聴いて、CDも買って、ハイレゾも買ってしまう。

飯尾 もうお布施ですよね。ストリーミング・サービスは自分の好きなアーティストに一票入れるみたいな気持ちで音楽を再生できるのが楽しいところです。

フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮 レ・シエクルのラヴェル曲集

飯尾洋一
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...