15 これまでいちばん緊張したことは?
G あー、いろいろあるけどなあ。緊張というか、けっこう追い詰められたのは……。あ、でも別にそうでもなかったかなあ。(笑)
一瞬、わっ、どうしようって思ったのは、一昨年の細川俊夫さんのコンチェルトの時(※注)。急に代役を頼まれて、2日後が本番という……あれは痺れましたね。
※注:「N響 MUSIC TOMORROW 2022」(2022年7月1日)で、細川俊夫作曲「ヴァイオリン協奏曲《ゲネシス(生成)》」の日本初演でソリストを務める予定だったヴェロニカ・エーベルレが急な体調不良で来日できなくなり、同曲のソリストを、当時ゲスト・アシスタント・コンサートマスターだった郷古廉さんが代わりに務めた
――そういうのは初めての経験?
G 初めてだし、もう2度とあってほしくない。でも、練習し始めた時がいちばん追い詰められていて、練習を始めていくと、 だんだん光が見えてきて、まあなんとかなるかも、と思って。
なんとかなるかも、とか言っちゃいけないけど。(笑) でも、そうでも思わないと、2日後には弾かなければいけない訳だから。ほんとうに自分の持てるすべてを使って、という感じでした。
――譜読みは早いほうですか?
G 早いほうじゃないかと思います。
――胃がキリキリ痛むような感じ?
G いや、意外とそこまでではなかったですけど。自分がほんとうにこれは限界、と感じたことは、まだあんまりない。
――凄いですね。じゃあ、もっといける。(笑)
G でも、多分限界を感じたら、終わりな気がするんだけど。
G あとは、今年の2月のN響の定期が続いた時は、けっこうしんどかった。
曲がね、けっこう重くて。とくに(井上)道義さんと演った、《バビ・ヤール》(ショスタコーヴィチ「交響曲第13番」)。歌詞もきちんと理解したいと思って、日本語訳を全部調べて。テクストと音楽が、かなり絡み合っているから、この音を弾いている時にどういうテクストが流れているのかっていうのはきちんと理解しておきたかった。
ずーっと楽譜に書き起こしていくんだけど、あまりにも歌詞が重くてね。なにかこう、いたたまれなくなってくるというか……。本番で弾いていても、終わった後も、重さが身体にのしかかる感じはあったかなあ。
詩の内容が、暗いとかいう話じゃない。生々しすぎて。100年も経っていないような、そう遠くない昔の話じゃないですか。あのテクストを書いた詩人のエフトゥシェンコは、2017年ぐらいまで生きていた人だから。
――お客さんが1回聴くだけでも相当重かったのに、それを演奏し続けるのはどれだけ大変だったのだろうと……。
G というか、やっぱりそれぐらいの精神をもって演奏しなければいけない曲だと思うんですよね。簡単に弾いてはいけないというか。
日時:2024年6月29日(土)14:00開演
会場:アクロス福岡シンフォニーホール
指揮:平石 章人
ヴァイオリン:郷古 廉
曲目
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 二長調
シベリウス:交響曲第2番 二長調 作品43
チケット:S席6,000円、A席5,000円、B席4,000円、車椅子席4,000円、学生1,500円
問合せ:TEL092−823−0101
日時:2024年7月7日(日)14:00開演
会場:あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)1階 ホール
出演:郷古 廉(ヴァイオリン)、加藤洋之(ピアノ)
曲目
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
シマノフスキ:神話
フォーレ:子守唄
イザイ:子供の夢
フォーレ:夢のあとに
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
※演奏曲目は変更になる場合がございます。
チケット:S席5,000円、A席3,000円
問合せ:あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)
TEL:088-622-8121
E-mail:jigyo@kyoubun.or.jp
※無料鑑賞(18歳以下のお子様180名程度)、半額料金鑑賞(同伴保護者90名程度)の応募締め切りは6月7日まで
詳細:令和6年度 あわぎんホール子供舞台芸術鑑賞体験支援事業について