「ホールでコンサートを聴く」こと自体を変えてみたい

林田 ブルーローズの方にお客さんが行くと、そこでどんな体験ができるんですか?

三輪 来てくれた人を巻き込んだワークショップのようなものとか、小さなコンサートとか、パフォーマンスとか。ガムランっていうのは、音楽だけじゃなくて踊りとも一体化していますし、総合芸術というか。あと、有名なのは、ワヤンっていう影絵芝居とかも、伝統的に一緒にやるようなものです。

もちろん、冠婚葬祭なんかでもガムランが演奏されるので、そういう意味で、宗教的なところもあるという。そういうものを、ある意味では、西洋音楽に対する1つのコントラストを作る形で見てみようじゃないかっていうのが、今回の趣旨なんですね。

ブルーローズでは、「ひらかれた家」を中心にホールの中が広場となり、出入り自由に散策することができる。おおよその時間になると、大ホールで作品を発表する作曲家や、さまざまなジャンルの特別ゲストによるパフォーマンスとガムラン演奏によるコラボレーションがはじまる。広場のあちこちにある屋台や露店のメニュー、商品は、当日来てからのお楽しみ

三輪 いちばん典型的なのは、コンサートホールだったら完全に遮音され、外界から遮断された中で集中して音楽だけを聴くっていうような設計になってるわけですよね。それはブルーローズでも変えようがないんですけれど、いわゆる生活空間に繋がるような空気が作れないかっていうところを考えて、例えば未就学児はお断りってアナウンスされているみたいなんですけども、これも変えようと思っていて、つまり子連れでも来ていいですよっていう形にしたいと思います。

というのは、インドネシアでも、ガムランを演奏している時に、お母さんと子どもがうろうろしていたり、平気でするわけです。そういう空間の中で行なわれるものなので、聴き逃さないように集中して聴いてくださいっていう、その聴き方自体を変えてみたい。

岡田 サントリーホールっていうのはとりあえず「ハード」であって、その中でいろいろな「ソフト=コンサート」が提供されるっていうのが通常の枠組みだけど、そこに屋台を出し、枠を7時間にして、しかもガムランを盛ることで、ホールというハードそのものを意識化させる、ホールとは一体何なのかをもう一度考えさせる――そんな意図を感じます。