――お子さんの音楽教育は、どのようになさっているのですか。
T うちには仕事柄たくさんの楽器がありますが、子どもたちに無理やりさせることはしません。6歳の息子はドラムをたたくのが好きなので、一緒に演奏して楽しんでいますけど。
というのも、僕自身が音楽家である両親に無理やりギターをやらされていたので(親父は愛情込めてやってくれていたんだろうけど)、子どもの頃はそれがすごく嫌だったんです。でもそんな僕も中学に入ると、音楽の授業でチューナー無しでギターを調弦してみんなから「すごい」と言われたり、バンドブームに乗っかってバンドを始めた時に活躍できたりした時に、「ああ、ギターやっててよかった」って思えるようになった。だから、子どもたちに無理強いすることはないけど、環境だけは整えておこうとずっと心がけていました。
カナダに留学中の19歳の息子も、子どもの頃にはピアノを少し習ったものの、すぐやめてしまったんです。でも今、自分でピアノを弾いている動画とかを僕にしょっちゅう送ってくるんですよ。「小さい時にピアノをやっていたから、今、楽しくピアノが弾けているんだよね」って。やっぱり「自分は楽器に触っていたことがある」というのは音楽に対する大きな自信になるし、それが人生のどこかで、何かのきっかけで「爆発」するんですよね。だから子どもたちにはなんとなく、楽器をちょっとでも触らせておいてあげて、いつか物心ついた時に「やっててよかったよね」と思ってくれたらいいのかなと。