以下は、サントリーホールでの上演を控え、作曲家タン・ドゥンに対して独自に行なったメール・インタビューの内容である。オペラ『TEA ~茶は魂の鏡~』をより深く理解し味わうための参考にしていただければと思う。

――茶を飲むという行為は、このオペラで語られているように、なぜ内面的な行為たりうるのでしょうか? 酒を飲む行為もじゅうぶん内面的だと思いますが、両者の違いについてお教えください。
タン・ドゥン 酒が陽の揺るぎない精神であるとすれば、茶は陰の潤いある静けさです。酒と茶の文化は、強さと柔らかさの文化、陽と陰の文化です――これは中国の祖先が世界に与えた影響であり、私たちが受け継ぎ守り続けなければならない遺産です。
この作品が繰り返し上演されるうちに、私は自問するようになりました。「茶は自分にとって何を意味するのか」と……。その答えは「宗教」でした。
2年前のある夜、ニューヨークのタイムズスクエアを歩いていると、二人の兵士の映像を目にしました。一人はロシア人、一人はウクライナ人で、共に茶を飲んでいる映像でした。クリスマスのことで、二人はその時間だけ停戦を誓い、お茶を飲みながら語り合っていたのです。私は、茶こそが友情と平和を語るための最善の手段かもしれないと考え始めました。
日本の茶室では、狭い入口(にじり口)をくぐる際に頭を下げることで、誰もが平等になります。「宗教」というとき、私はキリスト教やイスラム教や仏教といった個別の宗教を指しているのではなく、互いを愛し、愛されることを考えるための哲学のことを言っています。今日のこの複雑な世界において、茶こそが生命の源流へと私たちを連れ戻してくれる答えを持っていると思うのです。
