ファゴット奏者の宿命、リード作りとの戦い

——ファゴット奏者としてのこだわりは。

 ファゴットやオーボエなどのダブルリードの楽器奏者は、リードを自分で作らなければなりません。リード作りは本当に時間がかかって大変で。リードを作るのが趣味とは言いたくないけれど、そのぐらいでないと演奏活動が成り立たないのです。

例えばリードを10本作っても、実際に演奏会で使えるのは1本あるかないか。しかも1本作るのに数時間かかります。

いいリードがないと、本番で狙った音が出せないこともあるので、常に次の本番に向けてリードを準備することが求められます。たとえ体の調子が悪くても、いいリードがあればOKというぐらい(笑)。

——常にいいリードが複数ないと心配ですね。

 1本のリードは長く使えて1か月ぐらい。だからいいリードがあっても、次の公演のための不安がつきまといます。来月、再来月の本番のことを見据えて、空いた時間などにできる限りリード作りをしています。