——その他にも、さまざまな場所、スタイルでの公演が並んでいます。一押しの公演を教えていただけますか?
ドレッシャー テューリンゲン州はとても活気に満ちたバッハの国です。この地域の人たちはその偉大な遺産に誇りを持ち、自らバッハの音楽を多く演奏し、たくさんの合唱団が日頃からバッハを歌っています。そのため、私たちは毎年、音楽祭の始めに 「ハウス・ミュージックの⻑い夜」という企画の中で、個人のアパートや家を開放し、100以上のコンサートを行なっています。各個人の家をぶらっと訪ねて、バッハを気軽に体験できます。
また、純粋に古楽だけを扱う音楽祭ではなく、バッハを常に新しく発見し続けることが私たちにとって重要です。そのために、作曲家を招待して、バッハのカンタータを新しく作り変えてもらったり、若いアンサンブルに、元々工場だった空間で、バッハと電子音楽やジャズとコラボして演奏してもらったりしています。
こうしたイベントでは、終了後に観客とアーティストがバーで会って感想を言い合うのが慣例になっています。このような試みによって、普段クラシック音楽とは無縁の人たちをバッハに引き込むことができるのです。
2023年はナショナル・ユース・バレエが、ヨーロッパのトップクラスの若手ダンサーをゲストに迎え、ジョン・ノイマイヤーによるバッハの楽曲の振付を披露する予定です。また、若いソリストたちが、アコーディオンやフェンダー・ローズ・ピアノなど、意外な楽器でバッハを演奏します。その結果、聴き慣れた音楽が思いのほか違って聴こえてくるのです。
そして、ハイライトはもちろん、キングズ・シンガーズによるクロージング・コンサートです。キングズ・シンガーズは、世界のトップクラスのア・カペラ・グループで、過去に偉大な業績を残し、現在は新しいメンバーで構成されています。バッハがオルガニストを勤めたアルンシュタットの教会での公演となります。
——最後に、海外の音楽祭に行く人にとって、「食べもの」の情報は重要です。テューリンゲンでおすすめのグルメを教えてください。
ドレッシャー テューリンゲンには、ソーセージ(炭火で焼くテューリンガーブラートヴルスト)やクルーセ(テューリンゲン風のジャガイモのお団子)をはじめ、ドイツでも指折りの伝統料理があります。こうした伝統料理を食べることのできるお店がたくさんあります。もちろん、イタリアンもたくさんありますし、おいしい日本食レストランもいくつかあります。エアフルトでは美味しいラーメンが食べられますし、ワイマールやエアフルト、イェーナでは美味しいお寿司も食べられます。