——竹山さんが考える、フルートの役割や魅力とは。
竹山 以前、オーケストラの大先輩に「首席フルートはコンサートで“今日来てよかった”と思える瞬間を作れる楽器だし、その責任があるぞ」と教えていただいたことがあります。確かに花形楽器のひとつですよね 。
フルートはリードを介さず、息そのもので音を生み出す楽器です。だからこそ朗々と歌うようにも、語りかけるように繊細にも表現ができる。音色も。その幅広さが大きな魅力のひとつだと思います。
——東京交響楽団はどのようなオーケストラですか。
竹山 響きがとても柔らかく、美しい、繊細な音楽作りのなかにも歌があ るところが東響の特徴かなと思います。本拠地のミューザ川崎で練習できる贅沢な環境も大きいですね。
それに、東響は本番でのドライブ感がとてもおもしろいオーケストラです。毎回、微妙に違った一体感や音楽の流れが生まれ、その演奏がぴったりはまった時には、何とも言えない喜びがありますし、楽員のみなさんの反応の速さや柔軟性も魅力のひとつだと思っています。
——9月にはめずらしい演目にチャレンジするそうですね。
竹山 はい、私の今年のハイライトのひとつです。9月20日の東響の東京オペラシティシリーズと9 月21日のミューザ 川崎でのモーツァルト・マチネで、リゲティのフルートとオーボエのためのめずらしいダブルコンチェルトを演奏します。共演は幅広いレパートリーを吹きこなす首席オーボエの荒木良太さん。
私自身も初めて演奏する曲で、過去に一度だけサイトウキネンでオーケストラで演奏されると知り、松本まで聴きに行ったことがあります。それをジョナサン・ノット監督の指揮、そして東響で演奏できるのは本当に贅沢で、今からとても楽しみにしています。