——高校卒業後は、音大ではなく一般大学に進学されたとか。
荒木 中学、高校と吹奏楽部でオーボエを続けて、高校2年生の頃からは、プロの先生に習うようになりました。オーボエを吹くのが好きだったので、音大に進学するか迷っていたら、先生から「迷っているならやめておけ」ときっぱり言ってくださって。でも、もし音大に行きたくなった時に進路を変更できるように、日頃から鍛錬しておくようにと示してくれました。
それで当時は覚悟を持てなかったので、一般大学に進むことを決め、進学した大学ではオーケストラ部に入り、楽しく音楽をしていました。
——プロを目指したのはいつ頃ですか。
荒木 大学3年生になり、周りが就職活動を始める頃に「自分はこれから何をしたいのだろう」と考えるようになりました。
心の底では音楽で生きていけたら、どんなに素晴らしいだろうと思っていましたが、厳しい世界なので簡単にいくわけないとも思っていました。本心に従って音楽を続けるべきか、それとも普通に就職すべきか、迷っていたんです。
ちょうどその時期に、音大で学ぶ同世代の方々が参加するセミナーに参加させてもらえる機会がありました。それをきっかけに、大学3年生の1年間は「自分が死ぬ気で努力したら音楽の世界でやっていけるかどうか」を考える期間にしようと決めました。
最終的に何とかなるという確信はまったく持てませんでしたが、その1年はとても楽しく、もしこの道に進んでダメだったとしても後悔はしないと思える時間でした。