
——首席奏者として、演奏やリハーサルで特に意識していることはありますか。
荒木 本番で「今だ」という空気をいち早く察知したいと思っています。すぐ反応できるように、できるだけアンテナを張っていますが、ふっと「今日はちょっと見えたな」と思うこともあります。
——「見える」というのはどういう意味ですか。
荒木 指揮や周りの雰囲気から「行きたい方向」が見えてくる、ということです。それを感じ取って「では、そっちへ行きましょう」と舵を取るような感覚ですね。
もちろん、あらかじめ決まっていることをしっかりやるのも大事ですが、ある意味では即興的に、雰囲気に合わせて音楽を作っていけることが生演奏の醍醐味だと思います。そういう雰囲気を自分から作れるようになりたいと思っています。