偉大な音楽作品に近づくための「道標」となる教科書

私はいま、音楽を「演奏する」プロセスにおけるさまざまな知識と技術を体系的にまとめた「演奏芸術の教科書」を翻訳・出版するプロジェクトに取り掛かろうとしています。著者はアルチョム・アガジャーノフという先生で、私は15歳ごろから彼のもとで集中して勉強する機会に恵まれ、大きな影響を受けました。彼はモスクワ音楽院をピアノ(ゴルノスタエヴァ門下)・作曲(シデリニコフ、バラサニアン門下)のダブル・メジャーで卒業していて、作曲家(ときにピアニスト)として活動する傍ら、教師としてもモスクワ中央音楽学校などで、音楽理論、和声法、対位法、楽曲分析法などをはじめとする音楽に関わるほぼすべての科目を教えてきました。

この教科書では、「楽譜を読み解き音に変換して再現する」あるいは「楽譜から最大限に表情豊かで感動的な音楽を導き出す」ために必要不可欠な(基礎となる)要素を「15のパラメーター」として整理し、それぞれについて詳細に、しかし効率的に、わかりやすい形で解説することを試みています。

15のパラメーター