ドラマの内容に合わせたクラシック編曲の魅力

他にも、『VIVANT』にはワーグナーの《ワルキューレの騎行》も登場。リズミカルさがあるオリジナルよりも重厚さを増して、ヘビーな作品と演出に合った形で編曲されている。ラフマニノフの前奏曲《鐘》は本来はピアノ作品だが、弦楽器が目立つ形でオーケストレーションされていて、キャラクターたちの悲痛な状況をいっそう際立たせていた。

©️TBS

いずれのクラシックの作品も、オリジナルをそのまま使用するだけでなく、ドラマの内容に合った形でアレンジされている。まるで書き下ろされたサウンドトラックかのようにピッタリと合っていて、まさかクラシックだと気づかない視聴者もいたのではないかと想像する。100年以上の時を経て、現代の物語を引き立てたクラシックの魅力を堪能しつつ、『VIVANT』のラストも楽しみたい。

番組情報
TBS系日曜劇場『VIVANT』

放送:毎週日曜21:00~21:54

製作著作:TBS

原作・演出:福澤克雄

プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織

演出:宮崎陽平、加藤亜季子

脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈

音楽:千住明

出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司、二宮和也 ほか

桒田萌
桒田萌 音楽ライター

1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...