ヨハン・シュトラウスⅡ世の明るさとウィーン的な感傷も伝えたい

ヨハン・シュトラウスⅡ世の生誕200年を迎えるにあたって、今回の来日公演では特別なプログラムが組まれている。

「ヨハン・シュトラウスⅡ世の音楽の明るさ、ユーモア、楽しさ、そしてウィーン的な感傷をも伝えたいと思います。その音楽は、ブラームスやブルックナーやマーラーのような作曲家たちの作品と比べて、まったく異なる役割・機能を担っていました。従来は舞踏会のためや娯楽として演奏されていたのですから」

ヨハン・シュトラウスⅡ世の音楽家生活50周年を祝う、オーストリアの雑誌『Der Floh』の表紙(1894年10月14日)

最近のジョエルはシンフォニックなレパートリーもしばしば指揮するようになってきており、またこれまでに世界中の主要な劇場で活躍するオペラ指揮者としても実績がある。そのレパートリーは幅広い。

「私の主要なキャリアは常にオペラで、オペラというジャンルはどこをとっても魅力的です。年齢を重ね、経験を積めば積むほど、オペラの指揮は上達していくものだと思っていますよ」

ジョエルの生い立ちについても質問してみた。

「父はとても優れたピアニストでしたが、プロではありませんでした。私は幼い頃からウィーンでピアノとヴァイオリンを弾き、1991年にウィーン・コンセルヴァトリウム(現ウィーン市立音楽芸術大学)で指揮を学び始めました。もともと音楽が大好きで、子どもの頃に行ったオペラハウスではいつも指揮者に魅了されていましたから。

有名な歌手のビリー・ジョエルは私の異母兄弟です。兄弟で音楽的な共通点があるとしたら、私たちが二人ともベートーヴェンが大好きだということでしょう」

指揮台のアレクサンダー・ジョエル。客席とのコミュニケーションも、ウィーン・フォルクスオーパー響による来日公演の楽しみの一つ @SUNTORY HALL