——音楽との接点はいつだったのですか。
鈴木 3歳の頃からピアノは習っていたのですが、あまり上達はしなかったです(笑)。小学校4年生の時に、友達がカラーガード部に入部したのをきっかけに私も入部して、吹奏楽部の前で旗を振って演技をしていました。その時、同級生が演奏していたクラリネットに一目で引かれてしまって。中学生になったら、吹奏楽部に入ってクラリネットを吹きたいと、密かに憧れていました。
——クラリネットではなくホルンを選んだ理由は。
鈴木 中学生になって吹奏楽部に入ったのですが、クラリネットは小学校からやっていた子がそのまま選ばれて、結局、一人しかいなかったホルンを勧められて仕方なく(笑)。ずっとクラリネットに憧れていたので、人生のプチ挫折でしたね。でも先輩から「優ちゃん、めっちゃホルン似合うよ!」と言われて、私も単純なのですぐにやる気になりました。最初は一音も音が出なくて。
——どのぐらいで音が出るようになったのですか。
鈴木 1か月ぐらいです。でも、何音かを必死に出すぐらいのレベル。実はホルンは、ギネスブックで「世界でいちばん演奏が難しい楽器のひとつ」として認定されているんです。
音が出る構造自体は、ほかの金管楽器と変わらないのですが、そこから先に難しいと言われる理由があります。まず、ホルンは上吹き(高音奏者)と下吹き(低音奏者)と分かれるほど、同じ楽器なのに担当する音域が広いのです。
さらに、ホルンは音を出すときに、くちびるの振動とくちびるの開け閉めでコントロールしていて、それが少しでも違うと、まったく違う音が出てしまいます。なので、緊張していると「ド」を出したかったのに「ミ」が出てしまうということが簡単に起こりうるのです。同じ指で幅広い音域を出せてしまうからこそ、コントロールがとても繊細な楽器です。