2020.04.30
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」File.6
雨の日のドライブで、心に沁みたショパンのピアノ
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
雨の日に車の運転をするのがなぜか好きです。
「ぜんぜん濡れずに移動できるもんね~」という、ちょっとした喜び。車内は打ち付ける雨の音と、エンジン音と、タイヤが路面を走る音と、いろんな音が渾然一体となるわけですが、その中で音楽をかけるのもまた一興。
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そもそも強弱のダイナミクスが大きいクラシック音楽は、あまりカーステレオでかけるには向かないジャンルの音楽かもしれません。それでも「雨の日ドライブのお供」として風情を与えてくれる曲もあります。
先日、雨の運転中に心に沁みたのは、月並みではありますが、ショパンの「雨だれのプレリュード」。この名はニックネームであり、ショパン自身が付けたものではありません。でも、時に静かに、時に力強く連打される変イ音(嬰ト音)。やっぱり雨の風景によく合います。
ショパン:24の前奏曲集 第15番「雨だれ」/アラン・プラネス(ピアノ)
J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」を手本に、全調を網羅した作品集の構想をあたためていたショパン。恋人ジョルジュ・サンドと旅したマヨルカ島にて、雨の降りしきる夜にこの作品を書いていたのかもしれないと思うと、ハンマーで打ち付けるピアノの弦の響きに、優しさと湿度を感じられるかもしれません。
ショパンがこの曲集を書いたのは1838~39年。ショパン自身が演奏したかもしれないと言われる、1836年製のプレイエル社製のピアノで、フランスの巨匠アラン・プラネスが弾く演奏でどうぞ。
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