音楽が「起る」生活#3 ファウストとトラウベルのモーツァルト、《ばらの騎士》
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
日が長くなり、少しずつ春が近づいてきているのを実感する今日この頃。
夕刻のほんの一瞬、空の色が美しくてカメラを向けるのですが、いいポジションを探している間に刻々と色は変わってしまい、気づけば暗くなってしまうザンネンなことがよくあります。
時は止まってくれないですが、ピカッ ピカッと数秒おきに赤く灯る「止まれ」の標識が目につきました。
この写真から連想した音楽を。
キューバの現代作曲家エドゥアルド・モラレス=カソ(1969〜)の作品「赤と黒」です。
モラレス=カソはスペインの音楽院で学び、アカデミックなバックグラウンドがしっかりとある作曲家です。彼の音楽には、とても内省的なシリアスなものが多いですが、知性のみならず、柔らかな感性を感じさせます。「赤と黒」も光が闇に溶けていく時間帯にじっと聴くのにいい感じ。
ハープとヴィオラというめずらしい編成の作品ですが、ふたつの弦楽器の音色の違いが生み出す奥行きと、落ち着いた呼吸感が魅力的な作品です。