読みもの
2021.08.26
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.75

心象風景を写し取りながら聴く、「すべての山に登れ」

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

どんな景色を見ながら育ったか、というのはその人の人格形成にどれくらい影響するんでしょうね。統計のようなものが取れないからこそ、こじつけになってはいけないですが、きっと何かしらの影響はあると思うんです。その人の心象風景に深く刻まれるわけですから。

続きを読む

わたしは北海道の海が見える田舎の出身ですが、10代の頃は山梨にいました。北国に帰りたい帰りたいと思いながら、ぐるり360度山々に囲まれて過ごした日々は、正直重々しい気分でした。とくに生活道路からもいつでも見える富士山は、遠いのに大きくて、なんだか恐ろしく感じる日もあったのです。

でも、年齢を重ねて、今山梨を訪れると、水も綺麗だし景色も美しいし、遠くの山々は涼しげにも見えます。景色に対する感じ方もいろいろと変わるんだなぁと、しみじみ思う瞬間です。いろいろとキツい時期があっても、超えられるものですね。

今回リンクする曲は少々懐かしい「3大テノール」のアルバムに入っている「すべての山に登れ」です。ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の名曲中の名曲です。私はまさに山々に囲まれた10代の頃この曲にドハマりしていましたが、あらためて聴いても、心励まされる作品です。

3大テノールの一人、プラシド・ドミンゴが歌う「すべての山に登れ」〜『サウンド・オブ・ミュージック』より

都内に暮らしておりますと、高層ビル郡の立派なマンションが立ち並ぶ景色にも慣れていますが、あの部屋の中の一つひとつにも人の暮らしがあって、毎日都会の夜景を見下ろしながら暮らす子どもたちもいるんだよね、と思うと、ほんとにいろんな人生観とか心象風景をもった人たちで世の中溢れているんだなと感じます。あなたにも、懐かしかったり、ほろ苦い気持ちになったりする心象風景はありますか?

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ