読みもの
2020.12.24
新井鷗子『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』より

ショパンが初めて作曲したポロネーズと名曲「英雄ポロネーズ」が生まれた背景

ショパンが初めて作曲した作品をご存知ですか? 「ピアノの詩人」と評され、数多くの名作を残したショパン。そんな彼の生涯を小学生にもわかりやすい文体でまとめた伝記『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(新井鷗子著、音楽之友社刊)より、ポロネーズに関するエピソードを紹介します!

音楽之友社
音楽之友社 出版社

昭和16年12月1日創立。東京都新宿区神楽坂で音楽の総合出版、並びに音楽ホール運営事業を行なっています。

イラスト:千原櫻子

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作曲家ショパンのはじまりはポロネーズ

ポロネーズはポーランドで生まれた民族舞曲の名前で、古くからヨーロッパで親しまれていました。強い拍から始まる3拍子の勇ましいリズムが特徴です。

1810年にポーランドの首都ワルシャワ近郊のジェラゾヴァ・ヴォラ村で生まれたフレデリック・ショパンは、フルートとヴァイオリンが得意な父、歌とピアノが上手な母、3歳上の姉ルドヴィカと2人の妹とともに、音楽あふれる家庭で育ちました。

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4歳でピアノを弾き始め、みるみる上達していくのを見て、父は6歳になったときにチェコ生まれのジヴニー先生に指導を依頼します。

ジヴニー先生は、バッハやモーツァルトの楽譜を教科書にして、ショパンにピアノと作曲を教えました。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」などを練習し、ショパンは何時間もピアノの前で過ごしていたそうです。

7歳のとき、ショパンは初めてピアノの曲を作曲します。ポーランドの村人たちの踊りの音楽「ポロネーズ」です。

「ズンタタ・タンタンタンタン、ズンタタ・タンタンタンタン」

三拍子のリズムをふみならして踊るポロネーズは、幼いころからよく耳にしていたものでした。

ショパンは、思いついたメロディを自由に弾く即興演奏が得意でしたが、まだ楽譜の書き方がわからず、ジヴニー先生がそれを五線譜に書き取ってくれました。

新井鷗子『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(音楽之友社刊)14、15ページより

みるみるピアノの腕を上げたショパンは、デビューコンサートでも成功を収め、天才と讃えられました。

そして11歳になったとき、ショパンはジヴニー先生の誕生日のお祝いに、作曲した「ポロネーズ」をプレゼントしました。それはショパンが自分で五線紙に書いた、美しい楽譜でした。

「ありがとう、フレデリック(もう、わしがきみに教えることは何もない)。」

ジヴニー先生の胸は、よろこびとさびしさでいっぱいになり、目は涙でうるんでいます。

次の年、ジヴニー先生は、ショパンの先生としての役目を終えました。

新井鷗子『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(音楽之友社刊)14、15ページより

ショパンがジヴニー先生に贈った、ポロネーズ第13番変イ長調

ピアノを習い始めてからわずか1年でポロネーズを作曲し、そして11歳のときに初めて作曲したのもポロネーズでした。生まれたときから親しんでいたポーランドの音楽は、ショパンの記憶に深く刻まれていたのですね。

30代のショパンと代表作「英雄ポロネーズ」の誕生

ショパンはポロネーズを生涯にわたって作曲し続けました。その代表作として、ポロネーズ第6番「英雄」が挙げられます。

ポロネーズ第6番は男らしく勇ましい魅力を持つことから「英雄」というニックネームで呼ばれています。まさにヒーローが登場するような出だし、中間部で左手がオクターブで同じ伴奏型を繰り返すところはピアニストにとってもっとも難しいテクニックです。

新井鷗子『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(音楽之友社刊)巻末9ページより

この作品は、ショパンが亡くなる7年前の1842年、32歳のときに作曲されました。フランス中部の村ノアンにあるサンドの館で、作曲と体調の回復に集中したのち、ショパンはパリに戻ります。

「おかえりなさい! ショパン先生!」

1年ぶりにパリに戻ったショパンに、弟子たちが殺到しました。突然ショパンがゆくえをくらましたので、むしろ前より人気が上がったほどです。

ショパンは自分のマンションで朝から夕方まで作曲とレッスンをして、終わったら馬車でサンドのマンションに行き、夕食をともにしました。

こうしてここから数年間、春・夏・秋はノアンで作曲に集中し、冬はパリでピアノのレッスンというパターンが続きます。仕事もはかどり、男らしく勇ましい「英雄ポロネーズ」や、甘く抱かれるような「子守唄」が作曲されました。

新井鷗子『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(音楽之友社刊)75ページより

ショパンが32歳のときに書かれたポロネーズ第6番「英雄」

ショパンの生涯とたくさんの豆知識をCD付きで学べる!

今回紹介したのは、ショパンの生涯のほんの一部分。『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』(新井鷗子著、音楽之友社刊)では、ショパン自身のエピソードはもちろん、まわりの人物の紹介や名作の曲目解説など、ショパンについてまるっと紹介しています。ショパンの性格や趣味など、意外な一面も見られるかも?

付属のCDには、ショパンの代表作の名演が収録されているので、どんな作品か聴きながら読むこともできます。

小学校3年生以上で習う漢字にルビ付き。子どもから大人まで楽しめる伝記です。

『CD付き 音楽家ものがたり ショパン』
新井鷗子著、音楽之友社刊
音楽之友社
音楽之友社 出版社

昭和16年12月1日創立。東京都新宿区神楽坂で音楽の総合出版、並びに音楽ホール運営事業を行なっています。

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