
読みもの
2018.08.15
日めくりオントモ語録/五十嵐喜芳
声はじっくり育てていくより他にないものです。
――五十嵐喜芳「音楽の友」2006年8月号より
1950~60年代にイタリアで、ティート・スキーパに師事し、テノール歌手として開花した五十嵐さん。イタリアのテノールの現状について、「まだ力づくで歌うような歌手が主流だと言わざるを得ない。今の歌手たちには研究心が欠けていて、すぐ舞台に出ることばかり、お金を稼ぐことばかりを考えている」と心配していた。「指揮者のガヴァッツェーニが『音楽とは畑を耕すようなものである』と言っていましたが、声に関してもまったくその通りだと思います」と語った。
五十嵐喜芳 (Kiyoshi IGARASHI 1928-2011)
1928年生まれ。大阪音楽学校を経て、東京芸術大学卒業。1954年芸大在学中に文化放送音楽賞、55年音楽コンクール声楽部門第1位特賞、56年毎日音楽賞受賞、57~59年イタリアに留学。62年に再渡伊、63年帰国後《椿姫》で毎日芸術賞、同年大阪文化祭賞を受賞。藤原歌劇団には66年《カルメン》ホセ役でデビュー以来、《リゴレット》《トスカ》《椿姫》《仮面舞踏会》《ルチア》《セビリャの理髪師》《愛の妙薬》《友人フリッツ》《真珠採り》《蝶々夫人》などで主役を歌い、日本のテノールの第一人者に。76~77年には音楽生活30周年を記念して全国縦断リサイタルを行なう。85~99年、第3代藤原歌劇団総監督。その総監督時代に、新国立劇場開場記念公演《アイーダ》の公演プロデューサーを務め、99年7月~03年9月新国立劇場第2オペラ芸術監督に就任。その後ラヴォーチェのオペラ公演監督を務め、06年8月は《椿姫》を上演。91年紫綬褒章受章。92年日本イタリア商工会議所賞、98年勲三等瑞宝章、99年イタリア政府よりコンメンダトーレ勲章受章。藤原歌劇団団員、日本オペラ振興会常任理事、昭和音楽大学学長などを務めた。
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