タワレコ・バイヤー推し! の3枚

クラシック誌「レコード芸術」お墨付きの特選盤を、さらに厳選! &秋を感じる1枚

読みもの
2018.11.06

タワーレコードのクラシック担当バイヤーが、いまの季節に合った1枚をピックアップ! さらに、月刊誌「レコード芸術」11月号の特選盤に選んだCDの中から、さらに優れた2枚を推してもらった。

推した人
板谷祐輝 タワーレコード オンライン事業戦略部
板谷祐輝
推した人
板谷祐輝 タワーレコード オンライン事業戦略部
2011年タワーレコード入社。オンラインショップのマーケティング・事業戦略を担当。好きな音楽はクラシック、現代音楽、アンビエント、欅坂46。趣味は作曲、ピアノ、クラリ...
板倉重雄 タワーレコード商品本部洋楽部
板倉重雄
板倉重雄 タワーレコード商品本部洋楽部
レコード「板」の「倉」を守る「重」たい「雄」です。「レコード芸術」購読歴は40年、レコード業界歴は24年。現在タワーレコード株式会社、商品本部洋楽部勤務。SPレコード...
中川浩淳 タワーレコード 商品本部クラシック担当
中川浩淳
中川浩淳 タワーレコード 商品本部クラシック担当
2018年5月で入社して丸22年。J.S.バッハやブラームス好きで、最近はピアノ音楽にはまっていて古典派から近現代まで幅広く聴いています。2018年のドビュッシーのメ...

ダンディズムを感じる日本の秋を歌った小林秀雄

■小林秀雄、中沢桂/小林秀雄:落葉松 歌曲/ピアノ作品集

日本の四季は世界に誇るものであり、それは音楽・アートにも多大な影響を与える。とりわけ日本の歌曲に四季を謳ったものは数知れず、旋律・詞で美しい情景を堪能できるのもまた「日本に生まれてよかった」と思える瞬間だ。

その中で一つを選べと言われるのはなかなか酷な話だと思うのだが、それでも秋になればどうしても忘れられない一曲がこれである。

小林秀雄の《落葉松》。「雨」「濡れる」という語感に湿っぽさや切なさを感じつつも「わたし」という一人称に何かダンディズムを感じてしまい、何とも言いようのない心象風景が浮かぶ。小林秀雄が惚れ込んだ野上彰の詩も素晴らしいのだが、なによりピアノ伴奏が極めてドラマティックで揺さぶられるものがある。

そして、数ある小林秀雄歌曲の盤の中からこれを選んだ最大の理由は、同じく《落葉松》のピアノ独奏版も収録されているということだ。ピアノ独奏にすることでより心が掴まれ、締め付けられる。秋の昼下がりにピアノを弾き鳴らしたくなる素晴らしい音楽だ。もちろん落葉松以外も必聴。11曲の歌曲と3曲のピアノ曲でぜひ小林秀雄の世界を堪能してもらいたい。

(タワーレコード オンライン事業戦略部 板谷祐輝)

小林秀雄、中沢桂/小林秀雄:落葉松 歌曲/ピアノ作品集

演奏:中澤桂(ソプラノ)、長町順史(ピアノ)、小林秀雄(ピアノ)

録音:2002年8月19、20日、9月11日、10月15日 和光市民文化センター

フォンテック FOCD-3501

名人の運筆のような妙技で情熱あふれる名演 ~「レコード芸術」2018年11月号準特選盤より

■庄司紗矢香/ベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

両曲とも、過去の名盤群に一歩も引けをとらない大名演。ベートーヴェンはオケの前奏から落ち着いた音色とテンポ、リズム、ピラミッド状の音響が素晴らしい。

庄司のヴァイオリンも木目調の音色と落ち着いた佇まいがあり、名人の運筆のようなフレージングとヴィブラートの使い分けが、作品の情景を絶妙に描き出してゆく。彼女自身によるカデンツァも重音奏法で2つのメロディを組み合わせたり(第1楽章)、ロンド主題を重音、フラジョレット、左手ピッツィカートで変奏したり(終楽章)と内容豊かだ。第2楽章もオケの優しい、温かみのある合奏に包まれて、ヴァイオリンが輝きのある音色で、断片をつなぎ合わせたような旋律を艶やかに歌うのが極めて美しい。

シベリウスでは一転して極北の空気感と緊張感の中で、ヴァイオリンが冷たいほど冴えわたった音で、情熱あふれるヴィルトゥオジティを披露。G線の朗々とした唸らせ方も凄まじく、聴き応え満点の演奏を展開してゆく。

(タワーレコード商品本部 板倉 重雄)

庄司紗矢香/ベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

曲目:
ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」ニ長調 作品61[カデンツァ:庄司紗矢香]
シベリウス「ヴァイオリン協奏曲」ニ短調 作品47

指揮:ユーリ・テミルカーノフ

演奏:庄司紗矢香(ヴァイオリン)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

録音:2017年10月サンクトペテルブルク〈ライヴ録音(シベリウス)〉

グラモフォン(D)UCCG1811

個性的なバッハを聴かせる若きピアニスト ~「レコード芸術」2018年11月号特選盤より

ヴィキングル・オラフソン/バッハ・カレイドスコープ

1984年アイスランド生まれのピアニスト、ヴィキングル・オラフソンのドイツ・グラモフォンからの2枚目のアルバム「バッハ・カレイドスコープ」。

前作の「フィリップ・グラス・ピアノ・ワークス」でその圧倒的なピアノに度肝を抜かれましたが、今作もまた一聴して惹きこまれる内容。テクニックが素晴らしいのはもちろんのこと、現代的な感覚をもって繰り出される、そのセンスの良さに耳を奪われます。

オラフソンは、いわゆるコンクール優勝歴で頭角を現したわけではなく、クラシック音楽に限らず、ビョークやオーラヴル・アルナルズなどコンテンポラリー・コンポーザーたちともコラボレーションを行ない、わずか28歳でアイスランドで音楽祭を創設して芸術監督を務めるなど、類稀な才能をもつ若き音楽家です。

このアルバムは、彼が好きなバッハ作品の中から、全体の調性なども考慮して絶妙な選曲と配列を行ない、数か月を費やして生まれたもの。ラフマニノフやブゾーニ、そして彼自身による編曲作品も散りばめながら一つのアルバムとして完成させた、オラフソンならではのバッハの世界に浸れます。彼独自の解釈による演奏ですが、その確信に満ちた音楽は聴き手を納得させる雰囲気に溢れており、今後の動向にも目が離せないピアニストです。

(商品本部クラシック担当 中川浩淳)

ヴィキングル・オラフソン/バッハ・カレイドスコープ

曲目:
前奏曲とフーガBWV.902~前奏曲/コラール《喜べ,愛する信者よ》/平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第10番/トリオ・ソナタ第4番~第2楽章/平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲/コラール《来たれ,異教徒の救い主よ》/平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第2番/カンタータ第54番《いざ,罪に抗すべし》/イタリア風アリアと変奏、他(全18曲)

演奏:ヴィキングル・オラフソン(ピアノ)

録音:2018年4月 レイキャヴィク

グラモフォン(D)UCCG1812

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