佐渡裕×兵庫県立芸術文化センターが故・栗山昌良の想いを受け継ぐ《蝶々夫人》を上演
兵庫県立芸術文化センター「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 2024」の記者会見が行なわれた。
2024年の演目は、開館後すぐの2006年に初めての長編オペラ公演で上演した《蝶々夫人》。2023年6月に亡くなった名演出家・栗山昌良が手がけた作品だ。
今回の上演は、単なる再演ではなく、18年間のプロデュースオペラ上演実績を以てブラッシュアップされる改訂新制作。演出には佐渡の盟友で、初演時に栗山のアシスタントを務めた飯塚励生(れお)を迎える。
「栗山先生との出会いは19歳。関西二期会でたくさん仕事をしたが、一番思い出に残っているのは栗山演出の《蝶々さん》、本指揮者として初めて振ったのも《蝶々さん》、そして初めての夏のプロデュースオペラで上演したのも《蝶々さん》。
この重要なオペラは世界中で演奏されているが、海外での《蝶々さん》を見て、栗山先生の演出がいかに素晴らしいかを感じた。音楽的にも、ドラマとしても、《蝶々さん》を知り尽くす演出である」(佐渡)
「栗山先生の演出を初めて見たときには、圧倒的な美しさを感じた。人の流れ、運び方の美しさ、音楽を感じつつキャラクターを作る大切さ。その美しさをキープして、皆さんに見てもらいたい」(飯塚)
題名役で、難役として知られる蝶々さんを演じるのは、迫田美帆と高野百合絵のふたり。
迫田は蝶々さん役で藤原歌劇団デビューし、3度めの挑戦。《ラ・ボエーム》のカバーキャストとしてリハーサルで佐渡と初共演し、今回プロデュースオペラには初出演。
高野は2021年、23年に続き、このシリーズ3度目の登場となる。昨年の《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・アンナ役から、プリマドンナ「蝶々さん」役を射止めた。
「プッチーニが書いた繊細な表現を通して、悲劇に見舞われたひとりの少女として表現していきたい」
「オペラ経験が少なかった時に出演した、プロデュースオペラでの指導・経験が今の私を作っています」
2006年のオープニングでは「客席でみかんやおかきを食べていたお客さまたちが、3幕になると泣いていた。その瞬間に、ここでオペラをやっていけると確信した。お客さまも、我々も成長してきた」という佐渡の言葉通り、すっかり兵庫・夏の風物詩となった「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 」。その礎ともいうべき作品、栗山が残し、受け継がれた《蝶々夫人》を、この夏しっかりと感じたい。
全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付/改訂新制作
日程: 2024年7月12日(金)、7月13日(土)、7月14日(日)、7月15日(月・祝)、7月17日(水)、7月18日(木)、7月20日(土)、7月21日(日)
各日14:00開演
会場: 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
指揮: 佐渡裕
原演出: 栗山昌良
再演演出: 飯塚励生
管弦楽: 兵庫芸術文化センター管弦楽団
出演
蝶々さん: 迫田美帆A 高野百合絵B
スズキ: 林美智子A 清水華澄B
ピンカートン: ノーマン・レインハートA 笛田博昭B
シャープレス: エドワード・パークスA 髙田智宏B
ゴロー: 清原邦仁A 高橋淳B
ヤマドリ: 晴雅彦A 町英和B
ボンゾ: 斉木健詞A 伊藤貴之B
ケイト・ ピンカートン:キャロリン・スプルール(両組)
役人: 的場正剛A 湯浅貴斗B
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
A: 7/12、7/14、7/17、7/20 B: 7/13、7/15、7/18、7/21
写真は2006年の公演より
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