白石美雪『音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで』が音楽本大賞個人賞受賞!
音楽之友社の元社員、現・契約書籍編集者。ペンネームの青山通でクラシック音楽や初期ウルトラ特撮などの著述家。社員時は『週刊FM』、書籍、ムック、辞典等の編集を行ない、そ...
2025年6月26日、第3回音楽本大賞授賞式が、東京・神保町の「月花舎」にて開催。大賞および選考委員5名それぞれが選んだ「個人賞」の著者、関係者が出席した。大賞には、金成玟・著『日韓ポピュラー音楽史 歌謡曲からK-POPの時代まで』が選ばれた。
個人賞のうちの一作には、音楽之友社刊の、白石美雪・著『音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで』が選ばれた。同書は、気鋭の音楽学者である著者が「私はなぜ音楽評論を書くのか」という自身への問いを根源として、歴史的事象を読み解きながら音楽評論そのものを客観的に探究するものである。1875年(明治8年)『東京日日新聞』の記事を起点として、吉田秀和までに至る。
白石氏は、受賞の喜びと同書について、次のような趣旨の内容を語った。
この賞が始まったとき、わくわくするようなおもしろさがある、と思いました。今回の受賞作品も、普通なら私の本とは並ばないような、私には未知の世界の本が「同席」している。また個人賞の選考者が「この本おもしろかったよ」と、ご自身の読者に手渡ししてくださるような感覚も良かったです。私には出会えない方々ですから。
この本は、書名に「一五〇年」と冠しましたが、それは厳密な対象期間ではありません。内容がそもそも通史ではないですし、あくまでこんにちに生きる私が主観的にみた「スパン」を表しています。音楽評論の嚆矢は、大田黒元雄と言われていますが、あのような完成された評論家がいきなり登場するわけはありません。私の興味はその原点を探ることにあり、その結果、福地桜痴にたどり着きました
なお、その他の個人賞は、下記の4作が受賞。上記の2作も含め、多彩で意欲的なラインナップとなった。
・ティボー・エレンガルト/鈴木孝弥(訳)『キング・タビー ダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男』
・岡島豊樹『古典邦楽十吋盤のすすめ』
・AKALA(アカーラ)/感覚社編集部(訳)『ネイティブス 帝国・人種・階級をめぐる イギリス黒人ラッパーの自伝的考察』
・相田豊『愛と孤独のフォルクローレ』
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