イベント
2022.03.18
王子ホール/春の特集「ホールの1年間」

「MAROワールド」を核に、シリーズ企画でアーティストの変化も楽しむ〜王子ホール

銀座4丁目の王子ホールディングス本館2階にある王子ホールは、サロン的な雰囲気をもつ315席の音楽専用ホールです。文化的にも華やかな街にあって、1992年のオープン以来、上質な音楽や時間が楽しめる企画が上演されています。
来シーズンの核となる公演や、初めての人でもおすすめの企画を聞きました。

聞き手・文
山崎浩太郎
聞き手・文
山崎浩太郎 音楽ジャーナリスト

1963年東京生まれ。演奏家の活動とその録音を生涯や社会状況とあわせてとらえ、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。『音楽の友』『レコード芸術』『モーストリーク...

王子ホール ニューイヤー・スペシャルコンサート「MAROワールド Vol.43 by 篠崎“まろ”史紀 & MAROカンパニー」〜セレナード〜から。 ©️王子ホール/撮影:藤本史昭

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ただ聴いているだけで感動する音楽を

山崎 1年間のシーズンを考える上で、どのようなことをポイントにされていますか。

星野 このホールは銀座の真ん中にあって、お客さまは皆さん華やいで来ていらっしゃるし、周りには歌舞伎もあれば宝塚もある。そのなかでクラシックで勝負しなきゃいけない。なるべくいろいろな方に受け入れてもらえるような音楽、もちろんいい音楽を紹介して、みなさんのお眼鏡にかなうようにしたいと思っています。

王子ホール支配人 兼 チーフ・プロデューサー星野桃子さん。©️ヒダキトモコ

星野 そのために、毎年のシーズンの核になってくれるアーティストが、海外にも日本にも何人かいます。この人たちのシリーズがまず中心になりますね。MAROさん(NHK交響楽団コンサートマスター篠崎史紀)のコンサートは2、3年先まで、だいたいこうやろうと大枠を決めています。その周囲に、若手演奏家のシリーズを配置していく感じです。

MAROこと、NHK交響楽団コンサートマスター篠崎史紀さん。©️王子ホール/撮影:藤本史昭

星野 海外のアーティストも同様で、来日したときに必ず次回の予定、これも2、3年先の話になったりしますが、相談しておきます。

音楽がふだんの生活に根ざしてほしいと考えていますので、まずは音楽を楽しめるように企画します。眉間にしわを寄せるようなものではない、ご託を並べなくてもいい音楽を、楽しんで幸せと思ってもらえるような企画を考えます。

山崎 事前に予習しないとわかりづらいとか、そういうものではないということですか。

星野 そこは難しいところで、予習したほうがより楽しいことは楽しい。クラシックにはどうしてもそういうところがありますね。だけど、いい音楽というのは、ただ聴いているだけで感動する。

だから、まずはそこから始まって、ああ、もしかしたら勉強しておいたほうがもっと楽しめたかも、と思っていただければ、次のステップへ進むことができる。ですから、おもねるつもりは全然なくて、いい音楽を楽しく聴いていただくために工夫をします。

来てくださるお客さまのセンスも信じて

山崎 315席と親密な空間であるだけに、アーティストの表情や人柄がよくわかるのも、コンサートを楽しんでいただくためには大きいですよね。

インタビュアーは音楽ジャーナリストの山崎浩太郎さん。©️ヒダキトモコ

星野 お客さまを虜にできる人、マナーはきちんと守っていただくけど、緊張させずに楽しませ、客席をまきこめる人を選んでいると思います。

山崎 アイデアはどのようなところから。

星野 やっぱり自分もふだんからいろんなものを見て聞いて、芝居も見るし絵も見に行くし、あとはマンウォッチング(笑)。どうしようかと思っているときにカフェで人を眺めていたりすると、そういえばあのときのあれ、とかってアイデアが降りてくる。それは意外と多いかもしれない。そういうところから思いついて、アーティストに相談したりします。

山崎 そうしたアイデアに答えてくれるアーティストたちがいる、ということですね。

星野 アーティストの魅力も、来てくださるお客さまのセンスも信じています。よいアンテナをお持ちのお客さまたちで、やっぱり銀座だなと思います。

回を重ねてアーティストの変化を聴いてもらう

山崎 2022年度の予定をうかがいますが、海外のアーティストは最初に6月のケフェレックのピアノ・リサイタルですね。

星野 6月ぐらいからなら来日も大丈夫かなと考えました。

山崎 来年1月にはチェンバロのジュスタン・テイラーが再登場。

星野 テイラーはフレンチ・プログラムです。

山崎 前回のゴルトベルク変奏曲もよかったですが、アンコールのフランスものが絶品でしたから、これは楽しみですね。ほかにも9月にイブラギモヴァイッサーリス、12月にケラス、11月にビオンディとエウローパ・ガランテなどなど。

星野 2年越しになっている方もいて、プログラムを以前の予定と変更するかどうかはそれぞれですが、みなさんコロナ禍のなかで少しずつ変化がありますね。

山崎 なるほど。続いて国内のアーティストは、まずは「MAROワールド」。4月は2010年以来2回目のドホナーニ特集(※完売)ですね。

星野 ドホナーニを2回演奏するんだったら、先にやらなきゃいけないものあるよねと笑いながら、もう一度やる人なんです。MAROさんは(笑)。実際に聴いてみると素敵な曲なので、前回聴かなかった方も今回はぜひ聴いてほしいです。

王子ホール&アーティストによる演奏動画配信シリーズ<with Music…>より、MAROさんの演奏

山崎 それは楽しみです。ほかに藤田真央のモーツァルト(※4月は完売、ほか10月、2023年2月)、毎回趣向を凝らして好評の「銀座ぶらっとコンサート」シリーズ5月ほか)、さらに弦楽四重奏のクァルテット・インテグラの銀座デビューなどがあります。

楽しみがつまった銀座のお昼

山崎 このなかで、これからクラシックを聴いてみようという方にもおすすめのものをお教えください。

星野 やはり「銀座ぶらっとコンサート」シリーズはトークも入るし、いいんじゃないでしょうか。宮本益光さんの王子な午後」や加藤昌則さんのCaféギンザなどのシリーズをはじめとして、みんな企画力が上がってきていて、内容がとても濃い。お昼にこの値段でこれが聴けるなんてというものばかりで、すごく面白いです。

ほかには「MAROワールド」も楽しみがつまっています。

それから7月の波多野睦美さんの「歌曲の変容シリーズ」はバンドネオンの伴奏で、ピアソラなどクラシック以外の歌もたくさん歌われますから、クラシックに詳しくない方にもよいと思いますよ。

山崎 内容がいいだけにすぐ売り切れてしまうものも多いので、発売日を忘れないことが大切ですね(笑)。本日はありがとうございました。

王子ホール

[運営](株)王子ホール

[座席数]315席

[オープン]1992年

[住所]〒104-0061 東京都中央区銀座4-7-5

[問い合わせ]Tel. 03-3567-9990

https://www.ojihall.jp/

聞き手・文
山崎浩太郎
聞き手・文
山崎浩太郎 音楽ジャーナリスト

1963年東京生まれ。演奏家の活動とその録音を生涯や社会状況とあわせてとらえ、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。『音楽の友』『レコード芸術』『モーストリーク...

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