ゴージャスな音楽でドラマを盛り上げる!

ドラマ『コンフィデンスマンJP』の劇中音楽を作るfox capture planをクローズアップ! 

インタビュー
2018.05.27

「現代版ジャズ・ロック」をコンセプトとして活動するピアノトリオ・fox capture plan。現在放送中の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の劇中音楽も担当していることで注目が集まっている。岸本亮(Key / JABBERLOOP)、カワイヒデヒロ(B)、井上司(Dr)というそれぞれ異なるバンドで活動している3人が2011年に結成し、彼らが奏でるサウンドが口コミで話題に。2017年、ドラマ『カルテット』の劇伴を担当したことで一躍、その名をお茶の間にも轟かせることになる。
さまざまなジャズフェスはもちろん、ロックフェスにも招かれる彼らの幅広いサウンドの魅力に迫った。

衣輪晋一 メディア研究家・フリーライター
衣輪晋一
衣輪晋一 メディア研究家・フリーライター
サブカルライターを経てインドネシアで日本語教師ボランティア。帰国後は文芸批評と民俗学の「フィールドワーク」をメディア研究に取り入れ、現場に足を運んで得た情報を基に考察...
フジテレビ系 毎週月曜午後9時~
出演:長澤まさみ、東出昌大、小日向文世 ほか
脚本:古沢良太
音楽:fox capture plan

――現在放送中の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の劇伴を担当されています。

岸本亮(Key)テレビドラマの劇伴は5本目になります。打ち合わせに行って制作の方々がおっしゃったのは「ドラマの背景音楽にちょっと新しい風を吹かせて欲しい」。日本のドラマっぽいベタな“ザ・劇伴”という音楽よりも、海外映画や海外ドラマのようなノリのよいものが求められていたようで、それは「僕らがやっている音楽に近い」と感じました。

カワイヒデヒロ(B)僕らはインストも作りますが、いわゆる劇伴という感じよりはバンドサウンドに特化した音楽。「そんなバンドを探していた」と言われたことも覚えています。

井上司(Dr)僕たちが作ってその曲をプレイしたらそのままバンドっぽいサウンドになる……fox capture planを、そんなバンドとして捉えていただいたようでした。

――作業手順は?

カワイ まず台本をいただいて読み、映像も出来上がっているところは見せてもらいました。作品や画のテイストを見て、プロデューサーさんや監督さんの要望をヒアリング。例えば、毎話、冒頭で長澤まさみさんや東出昌大さんが「何が本当で何が嘘か」などのセリフをいうメインタイトルでは、「仕事に大成功して浮かれている感じとかを明るくビッグバンドで表したい」と思いました。

井上 メインテーマには「ゴージャスに」という希望もありましたね。

カワイ そこで多くの管楽器を使ってストリングも足しました。ドラマの物語内で主演の3人を中心に億単位のお金が動く展開がされるので、そんなゴージャスさを演出したかったんです。

岸本 結果、パーカッション、コーラス、さまざまなパートがあり、総勢20名を超えた演奏に。僕らは基本、キーボード、ベース、ドラムなんですが、今回キーになったのは管楽器やギター。《Confidence Rumble》というギターから始まる激しい速い曲もあるのですが、それはオルガンで、ディープ・パープルのジョン・ロードが弾くキーボードみたいなソロが入っています。

カワイ サウンドも昔ながらの温かい音色で録っていただけました。全体的にサントラというより、音楽としても聴ける内容になっているかな、と。僕は、長澤まさみさんが演じているダー子のテーマの《Fish on!!》が気に入っています。あのキャラクターの陽気な感じを、金管のアンサンブルを使って、なおかつラテンっぽいテイストで。

井上 変わった曲とかだと、ドラマー2人がドラムバトルしているドラムだけの曲《Strain Match》なんかもあります。あえて2人がせめぎ合ってる感じを出したつもりです。

カワイ 全体的に、劇伴にしては結構、主張が強くなっていると思います。

――ドラマ『カルテット』の劇伴もかなり主張が強く、一躍話題になりましたね。

カワイ  『カルテット』ではストリングスは使わないでくれって縛りもあったかな。

岸本 だからフルートとかクラリネットとか木管とアコーディオンを。今回は『カルテット』のときよりホーンとギターが増えたよね。4ビートやファンクなどバウンス感のある音楽はこれまであまりやらなかったように思う。今回はリスニング最優先というか、聴かせることを念頭に置いた。だからエンターテインメント性が強い分、今までの僕らのサウンドの真逆を行っているかもしれません。

――改めて、みなさんの作曲スタイルを教えてください。

カワイ デモは大体打ち込み。それぞれが作ってメールで送り、譜面を作ってスタジオで合わせます。そんな中で「これは人間は弾けないぞ」という部分を修正しつつ(笑)。今はお互いのプレイスタイルがわかっていますから修正は減りました。ただ、リハーサルはあまりやらないよね。

岸本 単に時間がないってのもあるけど(笑)。ジャズミュージシャンも事前にリハをやらずに合わせるじゃないですか。そういう感じに近い。

カワイ コードとメロディだけの譜面を見て曲のサイズを認識するジャズ特有のあの感じ。曲に対して新鮮味を持ったまま演奏できるという利点もあります。

――自分たちのサウンドの特徴を挙げるなら?

カワイ ドラムの音色かな。やっぱり井上くんのドラムが普通のジャズドラマーの音色じゃないこと。それはアドバンテージですね。

岸本 あのドラムの上にエレキギターだとよくあるサウンドになっていたかもしれない。僕はカワイくんのベースも好きなのですが、カワイくんは大学時代に入ったオーケストラでコントラバスを選んだよね。それまではあまり音楽をやっていなかったって。どうしてコントラバスを?

カワイ  ウッドベースに興味が(笑)。高価なものですから、ただで触らせてくれるのがオーケストラだったという経緯です。クラシックだったら基礎も身につくでしょ、と(笑)。

井上 レコーディングエンジニアの方がいろいろ遊んでくださってるのも僕らのサウンドの特徴ですよね。エフェクトを掛けたドラムはジャズドラムにはあまりないかな。ミックスして戻ってきたら、いつの間にかドラム2台の音……叩いた2パターンのものをエンジニアさんが合わせてみてくれたり。

カワイ 確かに。あとピアノやベースにエフェクトをかけているのも昔はやっている人が少なかった。でもがっつりディレイをかけたピアノは今でも少ないのではないかと思います。

――fox capture planが劇伴をやる意味とは?

カワイ 劇伴をやると、普段の僕らとは違うテイストの曲に気兼ねなく挑戦できること。新しいサウンドにチャレンジできる良いきっかけになっています。

井上 僕らはジャズというジャンルの中でやっていて、ストリングスや色々な他の楽器とのコラボもやっていますが、一番うれしいのは、軽い気持ちで僕らの音を楽しんでもらえること。ドラマの劇伴はその窓口になってくれているようにも思います。

カワイ 個人的にはその曲自体を楽しむために、ジャズとかクラシックとか、ジャンル的なものは取り払って音楽を聴いて欲しいんです。固定概念は実は邪魔なんじゃないかって。

井上 うん。そういうの、自分も音楽を聴くうえで一番考えてないかも。

岸本 いらないよね。僕らはクラシックの影響も受けましたが、ジャズというくくりでジャズフェスに出たり、ロックフェスにも出演しています。ポストロックを標榜しているところはあるのですが、ジャズだからとかロックだからとかではなく、全然違うジャンルの方にも発信しなければいけないと思っています。劇伴もその一環だと思うし、音楽の楽しさをもっと広げていけたら。これからもどうぞ応援をよろしくお願いします。

インタビューは「JAZZ AUDITORIA 2018」の会場WATERRASにて行なった
アルバム
Family Vol.2

fox capture planeが参加したコンピレーションアルバム(発売中)

UИTITLƎD

6thアルバムが好評発売中。

profile
岸本亮(Key)

 ピアノ担当。ホーンなども入ったクラブジャズバンド・JABBERLOOPにも所属。クラシックとの出逢いは幼少期、母がピアノの先生だったこと。高校2、3年生でチック・コリアやビル・エバンスなどジャズに触れる。大学時代にはビックバンドも経験し、山野ビックバンドコンテストにも出場。関西在住自体はソウル・ファンク・ディスコ系のバンドも。

カワイヒデヒロ(B)

ベース担当。叔父が作曲家の川井憲次で、当時からそのサンプルを聴いて育った。音楽に目覚めたのは高校3年生。クラブミュージックやジャズに触れ、大学に入ってクラシックのオーケストラに入る。岸本とはイベントで他バンドとして競演した際に出逢い、「ピアノトリオがやりたい」と誘われ、同志に。

井上司(Dr)

ドラム担当。幼稚園、小学校とピアノを学んでいたが、中学2年生の頃、ニルヴァーナの映像のデイブ・グロールのドラムを見てドラムを始める。いくつかのバンドを経た後、友人づてに岸本と出会い、fox capture planを結成に参加。岸本は声を掛けた理由を「僕たちの周りのドラムとは違うサウンドだった。ライトシンバルの音がジャズっぽく聴こえたのも決め手になった」と振り返る。

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